1961(昭和36)年、三重と奈良にまたがる集落・葛尾で凄惨な事件が起こった。村の懇親会で振る舞われたぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡するという、世にいう「名張毒ぶどう酒事件」である。犯人とされた奥西勝は無実を訴え続けるも死刑判決が下され、89歳で獄中死した。弟の無実を信じ、訴え続ける妹・美代子の物語(ドキュメンタリー)である。
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2月27日(木)夜、シアターキノにおいて上映された「いもうとの時間」を観ました。事件としては半世紀以上前の事件で、私もそれほど関心を抱いた事件ではなかったのですが、昨年9月に通称「袴田事件」と称される一家4人殺人事件の犯人として死刑判決を受けた袴田巌さんの無罪判決が話題を呼び、その陰に姉の袴田秀子さんの献身的な支えがあったからとされるを知り、その共通性に興味を覚えたからでした。
ただ、やはりこの映画に対する関心は高いとは言えず、私が観た際の観客は私も含めて僅か5人だったのは、上映しているシアターキノとしては辛いところかもしれません。
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※ 94歳となった岡美代子さんは腰が90度に折れ曲がりながらも弟の墓参りを欠かしません。
映画制作はドキュメンタリー映画の制作では名高い東海テレビです。東海テレビは、事件発生当時の貴重なフィルムも織り交ぜ、事件の経緯、そして長い裁判の行方を追っています。本作ができるまでに、東海テレビではこの事件関連のドキュメンタリー映画を「約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」、「ふたりの死刑囚」、「眠る村」と続けて、本作が4作目だそうです。
事件の当事者である奥西勝(当時35歳)は、逮捕当時に事件の関与は否認するものの、検察官の執拗な追求によって自白してしまい、有罪判決を受けた。しかし、客観的証拠に乏しかったことから、一審判決で無罪を勝ち取り保釈されました。しかし、二審において逆転判決となり一転して死刑判決が言い渡されたのでした。
以来、無実を訴え続けるも、ことごとく司法から跳ね返され、奥西は89歳で獄中死してしまいました。
再審請求を引き継いだ妹の岡美代子さんは、応援する弁護団と共に、新証拠を出し続けたのですが、再審の扉は開かれず、ついには10度目の再審請求も却下されてしまいました。
映画制作はドキュメンタリー映画の制作では名高い東海テレビです。東海テレビは、事件発生当時の貴重なフィルムも織り交ぜ、事件の経緯、そして長い裁判の行方を追っています。本作ができるまでに、東海テレビではこの事件関連のドキュメンタリー映画を「約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」、「ふたりの死刑囚」、「眠る村」と続けて、本作が4作目だそうです。
事件の当事者である奥西勝(当時35歳)は、逮捕当時に事件の関与は否認するものの、検察官の執拗な追求によって自白してしまい、有罪判決を受けた。しかし、客観的証拠に乏しかったことから、一審判決で無罪を勝ち取り保釈されました。しかし、二審において逆転判決となり一転して死刑判決が言い渡されたのでした。
以来、無実を訴え続けるも、ことごとく司法から跳ね返され、奥西は89歳で獄中死してしまいました。
再審請求を引き継いだ妹の岡美代子さんは、応援する弁護団と共に、新証拠を出し続けたのですが、再審の扉は開かれず、ついには10度目の再審請求も却下されてしまいました。
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※ 奥西勝さんが弁護団に託した手紙の写しです。
私は未知でしたが、再審請求ができるのは配偶者、または直系の親族及び兄弟姉妹にしか許されていないそうです。ということは、この「名張毒ぶどう酒事件」の場合、岡美代子さんしか再審請求の権利が与えられていないのです。その岡さんも今や94歳。残された時間はそう多くはありません。兄の無罪を信じ、長生きを誓いますが、その「いもうとの時間」はいつまで続くのか…。
老いてなお、気丈に司法に立ち向かおうとしている岡さんの姿がいつまでも瞼の裏に残りました。
私は未知でしたが、再審請求ができるのは配偶者、または直系の親族及び兄弟姉妹にしか許されていないそうです。ということは、この「名張毒ぶどう酒事件」の場合、岡美代子さんしか再審請求の権利が与えられていないのです。その岡さんも今や94歳。残された時間はそう多くはありません。兄の無罪を信じ、長生きを誓いますが、その「いもうとの時間」はいつまで続くのか…。
老いてなお、気丈に司法に立ち向かおうとしている岡さんの姿がいつまでも瞼の裏に残りました。
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映画の中には、無罪判決を勝ち取った袴田巌さんと、姉のひで子さんが度々登場します。再審請求が叶い、無罪を勝ち取った袴田姉弟と、幾度も再審請求が却下され続ける岡美代子さんが対照的に描かれています。
司法が再審請求に対して、どのようなことを根拠をもとに再審の扉を開かったのか、その詳細については私は分かりません。
しかし、中には相当に有力な新証拠もあったようです。せめて再審の場で審理をし直すという道はなかったのだろうか?という疑問が私の中には残った映画でした…。