私は早合点していたようだ。新制度が来年度からと思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。札幌市は慎重にコトを進めようとしていることが分かった。民主主義の国に生きていることを実感した瞬間だった…。
11月23日の北海道新聞に下のように記事が掲載された。つまり、札幌市ではこれまで70歳以上の老人に対して、最大1万7千円の自己負担で7万円分の公共交通機関を利用できる優待制度(敬老優待パス)をとってきた。それを改めて自己負担なしで上限2万円まで公共交通機関を利用できる制度(敬老健康パス)に転換する、と掲載されていた。
記事を読んだ私は「おーっと、これは大変!」と思った。と同時に「札幌市も高齢者が増え、財政が賄いきれなくなったかな?」という思いもよぎった。
ただ記事には、ウォーキングやボランティアなどをすることでポイントを付与し、それを上積みして利用できる制度を考えていると付記されていた。
「はて?ポイント制度とは何ぞや?」という疑問が頭をもたげてきた。そう思っていたところ、今月に入って追随記事が出て、転換する「敬老優待パス」についての市民向けの意見交換会を各区毎に実施すると出ていた。その最初の回が昨日(12月23日)白石区で午後2時から実施すると出ていたので、一刻も早く知りたいと思っていた私は白石区の商業施設「ラソラ札幌」まで行ってみることにした。
「ラソラ札幌」は我が家から約6キロあるのだが、趣旨が趣旨であり、時間にも余裕があったので私は約1時間半をかけて歩いて向かった。
ところが私はここでもポカをしてしまった。会場には定刻の20分前に着いたのだが、会場には関係者らしい市役所の担当者の姿しか見当たらないのだ。すると担当者からは午後2時から2時間は掲示物を見ながら担当者が訪れた市民に対して個々に説明し、全体説明は午後4時からだというではないか!ガックリである。しかしまだ周りに参加者らしい市民がいなかったこともあり職員の方が私に付きっ切りで親切に説明してくれた。それによると次のようなことが判明した。
◆ 新制度「敬老健康パス」の実施は、現在のところ2026年度以降の見通しであること。
(つまり早くても3年後からの実施見通しということだ)
◆ つまり来年度(2024年度)は、今年度内に実施する意見交換会、あるいはパブリックコメントなどを参考にしながら、詳しい制度設計をする。
◆ 2025年度は構築した新設計による「敬老健康パス」の試行を実施して問題点などを抽出して、改善を進め次年度からの実施に備える。
ということだった。
またポイント獲得(付与)の仕組みについては例えば、〇歩くこと、〇介護予防、〇人とのふれあい、その他活動が難しい方へのポイントを付与する仕組みについても考えていきたいということだった。なお、ポイントの付与は最大で2万円までとする案のようである。
ここまで聴いて私の疑問は解消された。前述したように私は高齢者が激増している今、市の財政負担が伴うこの仕組みの改定はやむを得ないことかなぁ、という思いがある。その改定にあたって、改定をキッカケにして健康づくりや社会参加を後押ししようとする札幌市の姿勢を理解したいと思う。
また、制度を改定するにあたって、市民の声を聞きながら慎重にコトを運ぼうとしていることについても好意的に受け止めたい。為政者の声一つで物事を決めるのではなく、社会の構成者である市民の声を聞きながら慎重にコトを進めようとしていることに「あゝ、自分は民主主義の国に生きているんだなぁ…」との思いを強くした。
私はここまで説明を聴いて納得することができたので午後4時からの全体説明会には出席せずに会場を後にしたのだった。
すると私が訪れた翌日の今日、北海道新聞には「利用上限下げに疑問の声」と題する見出しと共に、「ラソラ札幌」での意見交換会の様子が掲載されていた。多くの市民の声を聞いて、より多くの市民が納得する形で新制度がスタートしてほしいものである。