プリズン・サークルとは?……、刑務所において受刑者同士が対話することによって真の更生を促す試みだそうだ。映画はそのような試みを進める国内唯一の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」の実態を2年間にわたって撮り続けたドキュメンタリーである。
10月22日(土)午後、北星学園大学において「プリズン・サークル」上映実行委員会が主催し、札幌弁護士会が後援する映画「プリズン・サークル」の上映会及び坂上監督講演会が開催され参加した。
「島根あさひ社会復帰促進センター」とは、日本初の官民協働の刑務所である。センターの特色は、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC( The rapeutic Communityセラピューティック・コミュニティ=回復共同体)」というプログラムを唯一導入している刑務所である。
※ TCプログラムでは、このような小グループ討議の手法も取り入れられていた。
映画はそのTCのプログラムを使い、民間のカウンセラーと受刑者たちが犯した犯罪だけでなく、幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶、痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情、それらの表現する言葉を獲得していく様子を描く。特にこのドキュメンタリーにおいては、プログラムに参加する4人の若い受刑者に焦点を当て、彼らが新たな価値や生き方を身に着けていく姿を2年間にわたり克明に追った姿を写し出した。
本稿の冒頭に張り付けたポスター写真は、TCプログラムに参加する人たちが一堂に会するための椅子をサークル状に並べたところを写したもので、この映画にとってはシンボリックなシーンであるということで採用した写真だろうと思われる。
プログラムが優れているからだろうか?あるいは、自ら進んでこのプログラムを受けることを希望した人たちだったからだろうか?さらにはリードするカウンセラーの方の力量が優れているからだろうか?おそらくその全てが要因だろうと思われる。参加した受刑者たちは自分が犯した犯罪、あるいは自らの生い立ちについて、実に率直に語りだしていたことがとても印象的だった。
※ TCプログラム参加者にも、もちろん必要な作業は課せられていました。