あんな話こんな話

会津生まれの会津育ち…三匹の猫と柴ワンコや家族に囲まれ、家庭菜園に勤しみ都会には住めそうにないローカルな私の日常。

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2015-03-11 23:46:57 | 創作

えっと…サクぼんが保育園へ行き始めて
ボーーーーーーっとして考えがまとまらずに
気が抜けてしまったのでしょうかね~~(^▽^;)

なもんで、ちょっと温めていた創作をUPさせていただこうかと。
支離滅裂&稚拙な文章ですけど
暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しいですm(__)m

 

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私が幼馴染の彼女に会ったのは、ここ数年で3回だけだったけど
とても幸せそうな、ちょっと小太りの彼女に変わりはなかった。
いつも口癖のように忙しくって参っちゃうわって
でも私がいなけりゃ、夜も日も明けないんだからと
とても生き生きしていた笑顔が印象的だった。

次に会ったのは、彼女の夫が亡くなった時で
憔悴はしていたものの、気丈にも私がしっかりしなきゃと
涙をためた目で前を見据えていた凛々しさを感じる横顔が印象的だった。

3度目は、旅行先で偶然にあった彼女だった。

今は遠く離れて住んでいて、息子も結婚をしたの
お嫁さんはとてもいい子でねえ~
孫もいるのよ…私にたいそう懐いてて…話は続くが
どこか、食べた魚の骨が喉の奥に引っかかったような
何となく…どこが?と言われれば返答に困るくらいで
それでも彼女の幸せそうな顔を見ると、ちっぽけな違和感は消え去ってしまった。

ブログを書いてるの…唐突に彼女は言った。

50の手習いってわけじゃないけど、今時パソコンくらいは操作できないと
時代の波に遅れちゃうってもんよ、とクスッと口元に手を当て
パソコンのパの字も知らない私に、今時はね~が3度。

そんな彼女に触発されたわけでもないのだけど
確かに今時はね~とか思いながら、彼女の言葉に毒されちゃった感も拭いきれなかった。
それでも、何とかあちこちを見れるようになったので
彼女に教えてもらった彼女のブログを探し当てるのは造作もない事だった。

旅先で会ってから何年経ったのだろうか、ブログ上の彼女は
相変わらずにふっくらとした、苦労知らずの初老のご婦人って感じだったが
最後に会った時よりかは、少しだけ老けたような気がした。

ブログでは綴られている、昔と同じように忙しいけど幸せだって
夫の残してくれた遺産で悠々自適なというか
子供夫婦と何人かの孫に囲まれ、その孫たちも彼女を慕ってくれ
一緒にお茶した時の写真だとか、食事風景や誕生日のプレゼント
そんなものが彼女のブログに写真として飾られている。

幸せそうじゃないの…そんなことを思いながら
私自身も忙しさに、彼女のブログへと訪れることもなくなり
先日、ふと思いついて久しぶりに彼女のブログを開いた…が
しばらく更新した形跡がなく…いったいどうしたのだろうか?
あんなに毎日のように家族との生活を更新していたのに…。

彼女の居住まいは…。
昔旅先で偶然にあった時に住所とブログのタイトルとURLを書いたメモをもらい
そこから転居してない限り、まだそこに家族に囲まれて
幸せに暮らしているはず…あのメモはどこだっけ?
確か覚えたてのパソコンで、彼女のブログを検索したときに使ったから
パソコンの入っていた箱に取説などと一緒に仕舞っていたかも。

そう思いながら、パソコンの箱の中を見ると
ご丁寧にも取説の間に挟まっていた。

その住所を見て、決して近い場所ではないのだけど
行ってみようって気になったのは、以前感じた喉に引っかかったままの
魚の骨が僅かながら動いたような気がしたからかもしれなかった。

息子とちょっと陰気な嫁と可愛げのなくなった孫と
一人じゃ何もできない夫と…知人の所へ行ってくるからと
2~3日留守にするかもしれないというと、お母さんがいないと困るのだとか
俺の世話は誰がするのだとか…ああ~いい加減私を当てにするのはやめて欲しいものだわ。
平穏無事な生活ながらも、細かい不平や不満があるもので…。

そっか、喉の奥に感じた違和感は、彼女のブログは
強いて言えばショーウィンドウのマネキンが着てる洋服だとか
高級レストランのメニューの見本みたいな
誰もがいつも健康で愛を語らったような生活って考えられる?
実生活を生きてる汚れみたいなものが感じられない…それだ。

あまりにも理想過ぎる。

ともあれブツクサいう家人を尻目に、小さなバッグを一つ
私は特急に乗り込み、彼女のメモ通り海沿いの町へと
小ぢんまりとした駅に降り立ち…ちょっと途方に暮れる。
勢いで来ちゃったけど、急にお伺いして彼女に迷惑にならないだろうか?
彼女が留守なんてことないわよね…あいにく電話番号はないメモを
ギュッと握りしめた。

まあ、近くへだけでも行ってみようか、せっかく来たのだもの
そう思い直して、タクシーに乗り込み住所を言うと
運転手は短い返事をして車を走らせる。

駅から10分ほどの所で、この住所だとこの辺りなんですけど
どうもお目当ての家が見つからないのですよ。
どうします?との運転手の問いに、いちおう降りて散策をしてみる気になったのは
帰りに電車の時間がたっぷりとあったからだった。

ぽつんと取り残されたような住宅街の一角で
はて、どうしたもんかと番地を見ながら、何軒かのお宅の前を通り過ぎ
ちょうど玄関先の路地にいた年の頃も同じくらいの女性に聞いてみる事にした。

幸いなことに彼女に事をご存じで、昔は近所だったのだが
今はちょっと離れた老人施設にいるのだと教えてくれた。
彼女は息子夫婦と孫と楽しく生活しているものとばっかり思っていたが
夫に先立たれた彼女は息子一家との折り合いも良くなく
結局 息子一家は転勤とともに出て行ってしまい
それ以来姿を見るこちはなかったのだそうだ。

家の中に取り残された彼女は、やがて認知症を発症し
地区の民生員の方が手を尽くして息子との連絡を取ったのだが
戻ることもなく…郊外にある老人施設へと
それ以来彼女を訪ねる誰かもなくて…。
おしゃべり好きなご近所だった女性に聞いた概要であった。

どうしようか…彼女のいる老人施設は、そう遠い所ではない。
迷ったけど、思い切って行ってみる事にした。
町はずれの小高い丘の上にポツンと平屋の真新しい施設があって
入ってみようかどうしようか、本当はこのまま帰った方が良いのかもしれない。

何となく心が重く警鐘を鳴らしているような気がする。

しばらく施設の前で迷っていたけど、思い切って玄関のドアに手をかけた。
本当にお節介だわ、私…。
受付に古い友人だと記入して、入り口からは開けられ
内部からは開けられないドアを開けて行くと
たくさんの利用者さんが、思い思いに椅子に腰かけたり
テーブルで何やらおしぼりのようなものを畳んだり…。

彼女はどこにいるのかしら?
職員さんに聞けば、訪ねる人もないというかの人は
一つの部屋に窓に向かって外を眺めている。

声をかけようか…そう思った時に、彼女のつぶやきが聞こえた。

とっても優しいお嫁さんでね
孫たちもおばあちゃんおばあちゃんと慕ってくれてて
誕生日にはプレゼント、母の日と敬老の日とご馳走でね。
あらあら、私はどっちに属するのかしらね~
幸せそうに…髪の毛は白髪で短くて
ちょっとくたびれたようなパジャマ姿…認知症なのですよ。
案内してくれた職員さんが教えてくれた。

いつも同じような事を呟いているのだという。
幸せだった頃なのか、彼女の願望なのか…。
声はかけないで家へ帰ろうと思った。

彼女の世界の中で彼女の作りだした幸せの中にいるのが
彼女の為なのだと…悲しいけど。
静かに職員さんにお礼を言って施設を後にした。

黙ったまま駅へと戻り、家へ帰る電車に揺られながら
幸せだけの人生なんてもんはありはしない
生活しているうえでの不平があったり不満があったりするもので
おそらく何もなく平穏無事な生活は成り立たないのではないだろうか。
そんな中でも、ちょっとした安らぎだったり感謝の気持ちがあったり
思いやりだとか…パンドラの箱の最後に残っていた希望のように
そういうものがあるからこそ、他人同士が集まっての生活も成り立つのではないか。

なんだか、自分でも意味不明だけど
駅に着いたら何かしらお土産とか買って帰ろうと思った。

 

 

 

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不思議館へようこそ…。①

2013-03-20 22:18:17 | 創作

この日も寒い日で、普段 雪の降らないこの町にも
空からふあふあと白いものが舞い落ちて来そうな空模様だった。
雪の降る前が一番寒さを感じるのかもしれないと
フッと凍りついた様な吐息が漏れた。

買い物へと出たものの、特に買いたい物があるわけでもなく
昨夜にちょっとした夫との諍いが、重く胃の中に沈んでいたからかもしれなく
気晴らしというかそんな思いではあった。

さすがに歩き疲れたのか寒さに体が強張ってしまった感じがして
どこか…暖かい休めるようなお店はないのかしら。
立ち止まり見回してみるけど、特にそう言ったお店も見当たらなかったが
ふと気付いたビルの間に、何の変哲もない細い路地。
妙に惹かれる気持ちで入り込んでみれば
奥まった場所に忘れ去られた様な…昔で言うならば喫茶店か。

引き寄せられるようにドアに手をかけ
懐かしい様なカランカランとドアベルの音に
お店の中から挽きたてのコーヒー豆の香りと暖かい空気が体を包んだ。

小さなお店でカウンターとテーブル席がいくつかで
カウンターの中には寡黙そうなマスターがグラスを磨いている。

どこに座ろうか…思いあぐねてカーテンが視角になったような
窓際の席にそっと腰を降ろし外を眺めると
泣きだしそうだった天気はすでに白いものがチラチラと。
どうりで寒いはずだわ…ひとり呟く。

ブレンドでよろしいでしょうか。
カウンターの中からマスターが声をかけた。
静かに頷いて…気がつけば80年代の洋楽だったかしら?
じゃまにならない程度に静かに店の中に流れている。

George Michael - One More Try


こんな感じのドラマチックで心に響くバラードだった。

よろしいでしょうか、マスターが葉巻を一本指にはさんで
ウインクをする…どうぞ、そんな言葉のやり取りさえもけだるい様な気がして
いつもなら眉をひそめてしまう流れて来る紫煙の香りも
今は心地よい様な気がした。

誰だったか、葉巻きは吸い込むのではなく
吹かして香りを楽しむものだって聞いたけど
確かにそうかもしれない…異国の香りがした。
そんな事を思いながらそっと目を閉じて…。
いつだったか、その時にも
こんな80年代の洋楽と葉巻きの香りが流れていたような気がする。

まだ、ずっと若かった頃に当時夫とは結婚もしていなかった頃
理由は忘れてしまったけど、やっぱり何か言い争いをし
一人であちこち歩いて、疲れ果てて初めての喫茶店に飛びこみ
悲しみにささくれ立った自分を見つめ直した事があった。

しばらくして雪の中をコートを濡らして、きっとあちこちのお店を覗いたのだろうか
濡れた髪をそのまま額に垂らしたまんまで、探し出してくれた人
不安げなのに熱を持ったような熱い瞳には
迷い子を探すような必死さが浮かんでいた。

ここにいたんだ…探したよ、そういう言葉とは裏腹に
自分こそ捨てられた犬が彷徨って、ようやく飼い主に出会えたような
そんな頼りなさげな姿をしていたじゃないの。
いさかいをした事も忘れて仲直りしたっけ…遠い昔の事だけど。

あれから二人は結婚をして子を持ち、すでに子供たちは巣立っていき
また二人の生活が始まったけど…すっかりと忘れてしまっていた
あの日あの時あの気持ちに、ふと我に帰れば
目の前には少し冷めかけたコーヒーが置いてあった。

どうかしていたのだわ、私。

ちょっとした事に腹を立てて、二人が過ごして来た年月の前には些細な事なのに
…きっと単調な生活に疲れていたのね。
母親としての女としての生活から離れてしまったからなのかしら。
今度は自分自身の為に我がままに生きて行くのも良いのかもしれない。
好きな事は好き、嫌な事は嫌って言ってみよう。
そんな事を思いめぐらして…外を見ればチラチラの雪はいつに間にか止んで
すでに、街は夕方の装いへと変わりつつあった。

マスターは相変わらずにグラスを磨いている。

お勘定を…の言葉にマスターは笑顔で
次回来た時で良いですよ、と…あり得ないのだけど
軽く会釈をして、また寄せてくださいね。
そんな言葉を残してお店を出て、今夜は寒いから鍋にしよう。
すっかり現実に戻り、また何か気持ちが落ち込んだ時に来てみようと
振り返ったけど、今までいたお店はどこを探しても見つかる事はなかった。

あのお店はなんだったのだろう…そう思ったけど
お鍋の材料を買っているうちに彼女の脳裏からは
お店の存在はすっかりと消え去ってしまっていた。

 

ちょっとバタバタして、なかなか更新が出来なかったので
以前作った、短編小説の真似事みたいなものを更新してみました。
なのでコメント欄は閉じさせていただきます。

 

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創作 わが故郷に山河あり

2009-12-28 00:18:00 | 創作
外を眺めても何も見えない…そんな最終電車の固い椅子に疲れた様な男が一人。
通り過ぎた人が男に気がつけば、かなり憔悴しているのに驚いただろう。
男は目を閉じて、遠い昔を彷徨っている。

まだズッと若かった頃、田舎暮らしに嫌気をさして
故郷に一人母親を残して上京した。
有名になってやる。お金だけが自分の人生だと、がむしゃらに生きて
研ぎ澄まされたようなナイフで人を傷つけるような生き方をしてきた。

そんなささくれ立った生活でも、かなりの富を得て
だが、そういう生活は長く続く事もなく
気がつけば男に居たはずの妻や子供は、すでに遠く離れてしまい
今はただ、空っぽで渇き切った心だけが男のすべてだった。

いつだっただろうか…母親を見送り、生まれて育った家を処分して
これで男には故郷と呼べるものは何もなくなってしまった。

裏切られ見捨てられて、何もかも失くした男にとって
今はすでになくなってしまった故郷への望郷の思いか。
フッとひとつ…男は重いため息をついた。

何処へ行こうとしているのだろうか。

やがて最終電車は終着駅へと、静かに速度を落として止まった。
荷物ひとつ持たない男は、重い腰をあげて
古びた駅員もいない無人駅のホームにたたずみ
冷え切ったようなベンチに腰をおろし
ポケットからくしゃくしゃにねじれた様なタバコの箱を取り出して
一本のタバコに火をつければ、誰もいない駅のホームに紫煙が流れる。

どのくらいそこにいただろうか。

やがて男はゆっくりと立ちあがると、暗い何もない駅の外へと姿を消した。
道だけが白っぽく…ずっと暗闇の奥へと続いている。
その道を男はゆっくりと歩きだした。

どのくらい歩いただろうか、道は山沿いを遠回りするような感じで続いて
夜が明けるには、まだだいぶ時間があるようだ…しかし そんな事も介せず
何本目かのタバコに火をつけて歩き続けていた。

まだだったのだろうか…駅からこんなに距離があったのだろうか
自問自答をしながら、ようやく見覚えのある山が目の前に立ちはだかって来た。
疲れた…男はしばし立ち止まり辺りを見回して
特に感慨も覚えず、また静かに歩き始める。

そろそろ山の頂が明るくなり始める頃。

あの角を曲がれば…そんな思いが男を突き動かす。
あの場所へ行ってどうするのだろうか…何が男を待っているというのだろうか。
それでもあの場所へと行かなければ…男は生き続ける事が出来ないのだろうか。
あの場所へ行けば何か答えが見つかるのだろうか…それとも何も変わらないのだろうか。
疲れ切って荒んで、何もかも失って…生きる気力さえとうに失くしていた。

男はこの故郷で最後の眠りに就くために…自分を葬るためにやってきたのだ。

着いた、ようやく目的の場所に!

突然目に飛び込んできたのは、懐かしい小川と朽ちた様な木の橋と
何世紀にも渡って、雄大な姿を見せた故郷の山と…そこから日が昇り始めている。
男は固まったまま動けなかった。

男の脳裏にはフラッシュバックのように子どもの頃の記憶が蘇り
あの川で魚を捕まえた…あぜ道には夏になると星空のような蛍の群れ
あの山から日が昇る頃に起きて、反対側の山へ日が沈む頃まで遊び
山の中を縦横無尽に駆け回った…あの頃のままだ!

身じろぎもせずに、昇りゆく朝日を体中に浴びて
やがて、渇き切った男の胸に温かいものが溢れて来る…両の目から流れる熱い涙。
なんでだ!男は絞る様につぶやく。
冷え切った男の心に暖かい日差しが降り注いで
まるで母の胎内にいるような快感を覚えた。

生きていける…まだ生きられる。

男に力強い気力が漲りはじめる。
やり直せる…男は確信した。
そして随分長く故郷の景色を眺めていたかと思うと
踵を返して男は来た道を駅に向かって歩き始めた。

来た時のような無気力な死の影を引きずっているような
そんな気配は微塵にもなく、力強く帰って行く男の後ろ姿を
何世紀も前から同じように日が昇り日は沈んで…どのくらい繰り返しただろうか
そんな故郷は誰に心の中にもあるものなのだと…教えてくれたのだろうか。



という事で、今回は写真を使わず
ねこのおやぶんさんからいただいた絵をUP!




ねこのおやぶんさんからいただいた、この故郷を思わる一枚の絵。
『ひとりぼっちのひとり言』を想定して描いていただいた。
鴨を入れずに風景だけの絵に、何か創作をと考えて
この文章の挿絵にさせていただいた。

明るく力強さを感じさせるこの一枚に、私はすっかり魅せられてしまったようだ。

おやぶんさん ありがとうございました。
事後承諾ではありますが、トラックバックさせていただきました。





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鳥になりたかったカエル 

2009-09-26 23:19:02 | 創作
カエルはいつも思っていた…おたまじゃくしの頃から空を飛んでみたいと。
青い空、暁の空、雲の浮かんだ空、そんな空を自由に飛んでみたら
どんなにか気持ちの良いものだろうか…。


どこまでも 鳥に様に自由に遠くへ…遠くへと。

カエルは一生懸命にご飯を食べて運動もして
いつか生えるかもしれない翼へと期待を募らせ
毎日毎日あちらこちらへと、空を仰ぎながら…いつか飛ぶ日の為に!



カエルの妄想は膨らむ…空にはどんな虫が飛んでるのだろう?
空が青いのは空に海があるからなのだろうか?
鳥はいつ飛べるようになったのだろうか?
鳥は鳥になる前は何だったのだろう…。



空にはいろんな虫が飛んでいるけど、地上の方が数多く虫はいるって事。
珍しい虫も飛んでいるかもしれないが、地上よりはずっと少なく
それも、いろんな鳥が食べてしまうから、たいし事はないのだと…。

空が青いのは太陽の光が地球にある大気を通るからで
そのとき光の中の青色だけ大気中に散らばって空全体が青く見えるだけなんだよ。
鳥は最初っから鳥で、体の仕組みも空中を飛べるように出来てるんだ。
なんてたって、今自分の住んでいる所が一番良いのだと安住の地なのだと…
長老カエルが教えるのだけど、好奇心の強いカエルは聞く耳をもたなかった。


そんな事はない! 夢は見続ける事によって実現するって聞いた事あったもの。
そんな事を思いながら、今日もススキの穂先で空を眺めている。


いつしか日は短く…涼しげな風も吹く様になり、だんだん青空は高く遠ざかって
やっぱり 空を飛ぶ事は出来ないのだろうか。
カエルはカエルで、一生地べたの生活で終わってしまうのだろうか。
少しずつ日が傾き始めて、諦めにも似たため息がホッと…透き通った空へとポツンとひとつ。


その時だった! 一羽の鳥がカエルを咥えて飛び去った!

カエルは何が起こったのか分からずに
ただ あんなに憧れていた空が目の前に広がっている!
そう思った途端にカエルの意識は途絶えてしまった…次の瞬間!
カエルの魂は鳥と一緒になって大空を自由に飛んでいた。


空が青い~~! 太陽がまぶしい~~♪

そうか、カエルは思った。
カエルが虫を食べて生き長らえるように、鳥もカエルを食べて命を繋いでいく。
食物連鎖ってヤツなのか…分かったような分からないような
面倒くさい事は考えなくてもいいや、こうして今魂だけとなったカエルは
あんなに憧れていた空の真っただ中にいる…もっと、もっと飛んで!
そうして いろんなところへ連れて行って、見た事もない景色を見せて!

魂だけになったカエルは思わず叫んだ…キャッホ~~ィ!!



という事で、ススキの先っちょに、空を望むカエルをUP♪



ヒメ様との散歩で、見かけたカエルに思いついたお話でした(^-^)





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続 ひとりぼっちのひとり言…そして誰もいなくなった。

2008-10-18 23:59:15 | 創作
相変らずボクは一人でゴミの流れてくる川を泳いでいた。

時々犬を連れたオバサンがボクの写真を撮っていくよ。
犬も吠える事無く、オバサンの隣で座って僕を見て…でも!

どこかの2人のオジサンがボクに向かって石を投げつける。
どうしてなの? ボクは何もしてないんだ!
田んぼの稲だって食べたりはしてないのに…あ、少しは食べたけど。



やめて! ボクに石を投げないで!って叫んだけど
石を投げるオジサンには伝わらないようだ。
ボクが逃げ惑うのを笑っていた。
悲しい…口惜しい…ボクはどうして鴨なんだろう。
人間のように泣けたら…少しは悲しみが薄れるだろうか。

だけど、ただガーガーガーと意味不明の鳴き声が出るだけだった。

時おり冷たい雨が降り、それでもひとり…夕暮れが来るのが早くて
長い夜の時間がとてつもなく怖く感じるよ。
だって、ボクは夜には目が見えないから、物陰に身を潜めてるだけ。
早く朝が来ないかなぁ…。

そんな毎日を送っていた。
白鷺…コサギって言うらしいんだけど
最近 集団でボクのテリトリーを荒らすようになった
ボク一人では、とうてい太刀打ち出来ないよ!

ある朝…ふと気づくと、二羽の鴨がボクを見ていた。
ボクは何と表現したら良いのだろう、夢なのだろうか。
瞬きをしたら居なくなってしまうようで、二羽の鴨をジッと見つめ返した。



おそるおそる近づいてくる二羽の鴨は、ボクよりもいくぶん若いように思えた。
精一杯の笑みを浮かべて、ようこそ♪ しかしやっぱりガーガーガー。
仕方ないよね…ボクは鴨だから。



あなた一羽なの?って片割れの鴨が声をかけてきた。
うん ボクは一羽だよ、君たちは何処から来たの?って聞いたんだけど
二羽の鴨は肩を寄せてクスクス笑っているだけなのだが
やっぱり 鴨なのでガーガーガー。

おいでよ! 小魚がいっぱい居るよ♪



こうやって小魚を取るんだ!って一端の先輩を気取って川に首を突っ込んで
何度かやってると、二羽の鴨も真似をし始め…そしてボクらは仲良くなった。
三羽で川を行ったり来たりして、時には川岸で羽を休めて
すごく楽しいよ~ ボクはもうひとりぼっちじゃないんだ!
青空を仰いでボクは喜びのガーガーガー…だって鴨だからね♪



けれど…いつの間にか三羽の鴨は姿を消してしまっていた。
どこを探してもいつまで待っても三羽の鴨の姿は見られなかった。
新天地を求めて旅立ったのだろうか
あの二羽の鴨はひとりぼっちの君を迎えに来たのだろうか。

それでも変らずに、君のいた川には小魚の群れとジュースの空き缶が流れて来る。
昨日は今日につながり今日から明日へと続いて行くけど
君の姿は見られなくなってしまった。



だけど、ひとりぼっちのまま居なくなってしまったのではない。
仲間と連れ立ち新しい地を求めて飛んでいく君の姿が見えるようだよ。
これで良かったのかもしれない、そして秋が終わって
冬が来て冷たい雪に閉ざされた季節が過ぎ
暖かい春の日差しの中、君はきっと戻って来るに違いない。

家族を連れて、ひとりぼっちだった君が兄弟たちと母親を追いかけていたように
君の家族が新しくあの川へ戻って来るのを待っているよ。
相変らず犬を連れてデジカメを持って、君の家族の写真を撮りたいから。

そんなふうにして時は流れて行くのだろう、人生はいつも同じって事じゃなく
同じ様な人生でも、何かしらいつもと違う毎日が待ってるはずなんだ。
ひとりぼっちの君はひとりぼっちだったけど
おかげで生きる術や辛抱強さ…そして自分の人生に負けないって事を知った。
見習わせてもらうよ♪ ありがとう、ひとりぼっちの鴨。 

またいつか会う日まで!


という事で、久々に白い鳥スイミーをUP♪


ひとりぼっちだった白い鳥スイミーは仲間達と一緒にまるまると太っていた。



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ひとりぼっちのひとり言。

2008-09-28 23:58:00 | 創作
あれはいつの頃だっただろうか…。
たしかボクには兄弟がいたはずなのに。
春先には何匹かの兄弟達と側溝の中を泳いで母さんを追いかけたりしていた。



兄弟達の何匹かは野良猫にやられちゃったり
またカラスに連れ去られたり…それでもまだ兄弟はいたはずのに…。

暑い夏が来て…ボクも少しだけ大人になって
川の小魚なんかも上手く食べられるようになった。



兄弟達と…その時にはすでにボクの他には二羽くらいになっていたが
一緒に水遊びをしたり、川べりで猫に見つからないように日向ぼっこをしたり
でも 母さんはもうボクたちの元には戻って来なくなっていた。
少し寂しかったけど、兄弟達がいたし
水遊びは、そんな寂しさを紛らせてくれたよ。

だけどボクはあまり上手に飛べなくて…いつのまにかひとりぼっち。

テリトリー内の川魚は一人占めだけど…なんだか寂しい。
少しずつ涼しくなって、空は高く澄んで…見上げれば
十何羽かの仲間たちが空を群れ成して飛んで行った。






どこへ行くのだろうか。 ボクはこのままここに居ていいのだろうか?



川から流れてくるのはゴミばかりで…とても悲しい。

すっかり 一人ぼっちになってしまったボク。
心に冷たい風が吹きぬけていくようだよ…みんなはどこへ行ってしまったのだろう。
ここで待ってれば帰って来るのだろうか…来ないのだろうか。

時おり どこかのおばぁちゃんがパンをちぎってボクにくれる。
川魚もいいけど、そのパンは未知の味がした。

人間は怖くないのか怖いのか? 
そんなふうに思うんだけどどうなんだろう?
ボクの仲間と同じ様に、人間にもいろんな人間がいるんだろうか。
その辺ボクは鴨だから…よく分らないや。

人間ならもっと深く考えられるのだろうけど…。



ふと見上げれば、白鷺が飛んでいる。
いつか…いつか、あの白い鷺のように飛んでいけるだろうか。
そして粉雪が舞う頃には仲間も帰って来るんじゃないかな…きっとだけど。

そんな事を考えるともなく、今日も一人ぼっち。



という事でひとりぼっちの鴨のお話でした。




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