えっと…サクぼんが保育園へ行き始めて
ボーーーーーーっとして考えがまとまらずに
気が抜けてしまったのでしょうかね~~(^▽^;)
なもんで、ちょっと温めていた創作をUPさせていただこうかと。
支離滅裂&稚拙な文章ですけど
暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しいですm(__)m
ブログ
私が幼馴染の彼女に会ったのは、ここ数年で3回だけだったけど
とても幸せそうな、ちょっと小太りの彼女に変わりはなかった。
いつも口癖のように忙しくって参っちゃうわって
でも私がいなけりゃ、夜も日も明けないんだからと
とても生き生きしていた笑顔が印象的だった。
次に会ったのは、彼女の夫が亡くなった時で
憔悴はしていたものの、気丈にも私がしっかりしなきゃと
涙をためた目で前を見据えていた凛々しさを感じる横顔が印象的だった。
3度目は、旅行先で偶然にあった彼女だった。
今は遠く離れて住んでいて、息子も結婚をしたの
お嫁さんはとてもいい子でねえ~
孫もいるのよ…私にたいそう懐いてて…話は続くが
どこか、食べた魚の骨が喉の奥に引っかかったような
何となく…どこが?と言われれば返答に困るくらいで
それでも彼女の幸せそうな顔を見ると、ちっぽけな違和感は消え去ってしまった。
ブログを書いてるの…唐突に彼女は言った。
50の手習いってわけじゃないけど、今時パソコンくらいは操作できないと
時代の波に遅れちゃうってもんよ、とクスッと口元に手を当て
パソコンのパの字も知らない私に、今時はね~が3度。
そんな彼女に触発されたわけでもないのだけど
確かに今時はね~とか思いながら、彼女の言葉に毒されちゃった感も拭いきれなかった。
それでも、何とかあちこちを見れるようになったので
彼女に教えてもらった彼女のブログを探し当てるのは造作もない事だった。
旅先で会ってから何年経ったのだろうか、ブログ上の彼女は
相変わらずにふっくらとした、苦労知らずの初老のご婦人って感じだったが
最後に会った時よりかは、少しだけ老けたような気がした。
ブログでは綴られている、昔と同じように忙しいけど幸せだって
夫の残してくれた遺産で悠々自適なというか
子供夫婦と何人かの孫に囲まれ、その孫たちも彼女を慕ってくれ
一緒にお茶した時の写真だとか、食事風景や誕生日のプレゼント
そんなものが彼女のブログに写真として飾られている。
幸せそうじゃないの…そんなことを思いながら
私自身も忙しさに、彼女のブログへと訪れることもなくなり
先日、ふと思いついて久しぶりに彼女のブログを開いた…が
しばらく更新した形跡がなく…いったいどうしたのだろうか?
あんなに毎日のように家族との生活を更新していたのに…。
彼女の居住まいは…。
昔旅先で偶然にあった時に住所とブログのタイトルとURLを書いたメモをもらい
そこから転居してない限り、まだそこに家族に囲まれて
幸せに暮らしているはず…あのメモはどこだっけ?
確か覚えたてのパソコンで、彼女のブログを検索したときに使ったから
パソコンの入っていた箱に取説などと一緒に仕舞っていたかも。
そう思いながら、パソコンの箱の中を見ると
ご丁寧にも取説の間に挟まっていた。
その住所を見て、決して近い場所ではないのだけど
行ってみようって気になったのは、以前感じた喉に引っかかったままの
魚の骨が僅かながら動いたような気がしたからかもしれなかった。
息子とちょっと陰気な嫁と可愛げのなくなった孫と
一人じゃ何もできない夫と…知人の所へ行ってくるからと
2~3日留守にするかもしれないというと、お母さんがいないと困るのだとか
俺の世話は誰がするのだとか…ああ~いい加減私を当てにするのはやめて欲しいものだわ。
平穏無事な生活ながらも、細かい不平や不満があるもので…。
そっか、喉の奥に感じた違和感は、彼女のブログは
強いて言えばショーウィンドウのマネキンが着てる洋服だとか
高級レストランのメニューの見本みたいな
誰もがいつも健康で愛を語らったような生活って考えられる?
実生活を生きてる汚れみたいなものが感じられない…それだ。
あまりにも理想過ぎる。
ともあれブツクサいう家人を尻目に、小さなバッグを一つ
私は特急に乗り込み、彼女のメモ通り海沿いの町へと
小ぢんまりとした駅に降り立ち…ちょっと途方に暮れる。
勢いで来ちゃったけど、急にお伺いして彼女に迷惑にならないだろうか?
彼女が留守なんてことないわよね…あいにく電話番号はないメモを
ギュッと握りしめた。
まあ、近くへだけでも行ってみようか、せっかく来たのだもの
そう思い直して、タクシーに乗り込み住所を言うと
運転手は短い返事をして車を走らせる。
駅から10分ほどの所で、この住所だとこの辺りなんですけど
どうもお目当ての家が見つからないのですよ。
どうします?との運転手の問いに、いちおう降りて散策をしてみる気になったのは
帰りに電車の時間がたっぷりとあったからだった。
ぽつんと取り残されたような住宅街の一角で
はて、どうしたもんかと番地を見ながら、何軒かのお宅の前を通り過ぎ
ちょうど玄関先の路地にいた年の頃も同じくらいの女性に聞いてみる事にした。
幸いなことに彼女に事をご存じで、昔は近所だったのだが
今はちょっと離れた老人施設にいるのだと教えてくれた。
彼女は息子夫婦と孫と楽しく生活しているものとばっかり思っていたが
夫に先立たれた彼女は息子一家との折り合いも良くなく
結局 息子一家は転勤とともに出て行ってしまい
それ以来姿を見るこちはなかったのだそうだ。
家の中に取り残された彼女は、やがて認知症を発症し
地区の民生員の方が手を尽くして息子との連絡を取ったのだが
戻ることもなく…郊外にある老人施設へと
それ以来彼女を訪ねる誰かもなくて…。
おしゃべり好きなご近所だった女性に聞いた概要であった。
どうしようか…彼女のいる老人施設は、そう遠い所ではない。
迷ったけど、思い切って行ってみる事にした。
町はずれの小高い丘の上にポツンと平屋の真新しい施設があって
入ってみようかどうしようか、本当はこのまま帰った方が良いのかもしれない。
何となく心が重く警鐘を鳴らしているような気がする。
しばらく施設の前で迷っていたけど、思い切って玄関のドアに手をかけた。
本当にお節介だわ、私…。
受付に古い友人だと記入して、入り口からは開けられ
内部からは開けられないドアを開けて行くと
たくさんの利用者さんが、思い思いに椅子に腰かけたり
テーブルで何やらおしぼりのようなものを畳んだり…。
彼女はどこにいるのかしら?
職員さんに聞けば、訪ねる人もないというかの人は
一つの部屋に窓に向かって外を眺めている。
声をかけようか…そう思った時に、彼女のつぶやきが聞こえた。
とっても優しいお嫁さんでね
孫たちもおばあちゃんおばあちゃんと慕ってくれてて
誕生日にはプレゼント、母の日と敬老の日とご馳走でね。
あらあら、私はどっちに属するのかしらね~
幸せそうに…髪の毛は白髪で短くて
ちょっとくたびれたようなパジャマ姿…認知症なのですよ。
案内してくれた職員さんが教えてくれた。
いつも同じような事を呟いているのだという。
幸せだった頃なのか、彼女の願望なのか…。
声はかけないで家へ帰ろうと思った。
彼女の世界の中で彼女の作りだした幸せの中にいるのが
彼女の為なのだと…悲しいけど。
静かに職員さんにお礼を言って施設を後にした。
黙ったまま駅へと戻り、家へ帰る電車に揺られながら
幸せだけの人生なんてもんはありはしない
生活しているうえでの不平があったり不満があったりするもので
おそらく何もなく平穏無事な生活は成り立たないのではないだろうか。
そんな中でも、ちょっとした安らぎだったり感謝の気持ちがあったり
思いやりだとか…パンドラの箱の最後に残っていた希望のように
そういうものがあるからこそ、他人同士が集まっての生活も成り立つのではないか。
なんだか、自分でも意味不明だけど
駅に着いたら何かしらお土産とか買って帰ろうと思った。