その日はとても春らんまんって感じの暖かさで
遠く飯豊連峰の真夏でも消えない雪の白さと空の青さの
コントラストが美しく、磐梯山の雪はかなり消え始めるという
あまりにも対照的で、春の強い日差しは町中の屋根屋根に反射して
キラキラと…きれいだなって。
何度か来ていた夫の施設からの電話で
今度の抗生剤の効果はあったのかなって…何度か熱が出るたびに
いつ何があってもおかしくない状態だとは言われていたけど
いつも乗り切ってくれていた夫。
今回は力尽きてしまった…そんな感じで電話をもらって
すぐに高台にある施設へと向かったけど、夫は待ってくれることもなく
たった一人で穏やかな…たぶん苦しむこともなかっただろうと思われる顔で
ベッドに横たわっていた。
ちょっと声を掛けたら今にも目を覚ましそうな
おそるおそる頬に手を当ててみたけど、まだ温かくて
とても旅立ってしまっただなんて信じられずに
とめどなく涙があふれるかなと思ったけど、そうでもなく
胸が張り裂けるほどの悲しみに苛まれるかと思ったけど
なんだか実感がわかずに、あっという間に…気が付けば
夫は小さい箱に納まってしまった。
それでも家族で決めた遺影は満面の笑顔で
息子夫婦に結婚記念日にもらった花束と夫婦湯飲みのプレゼント
よっぽど嬉しかったんだろうなって…この笑顔を毎日見れるんだったら
なんだか頑張れるかな…。
普段は孫たちとバタバタして気が紛れているけど
一人になると、妙に胸にぽっかりと穴が開いた、そこから
ため息がこほれていく。
遺影を目の前にしても何も考えることもなく
ただただ見つめるだけど、ぼーっとした時間を過ごしてしまったり
ちょっと疲れやすくなったようで…元気なのに疲れる。
虚脱感というか、それでもまだ夫はあの高台の施設の一室に
未だに横たわっているような気がしてならない。
あまりにも突然でまだ受け入れられない部分があるのかもしれないと
もう少しゆっくりと時間をかけて、ブログの方はお休みしたほうが良いのかなって
そんなふうに思った。
在りし日の庭木の剪定をして一服している夫
息子とあくびをするポチコと…一緒に。
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