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映画:『ドリーム』(セオドア・メルフィ監督)
★★★★☆4.5
【シネマトゥデイの内容紹介】
1960年代の初め、ソ連との宇宙開発競争で
遅れを取っていたアメリカは、
国家の威信をかけて有人宇宙飛行計画に乗り出す。
NASAのキャサリン・G・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)、
ドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)、
メアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)は、
差別や偏見と闘いながら、宇宙飛行士ジョン・グレンの
地球周回軌道飛行を成功させるため奔走する。
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上映館が限られているのと、映画の日だったのが重なったためか、
いつも行く映画館(マイナー作品が多い)が
見たこともないほど混んでいた。
人種差別が横行しており、バスの座席も図書館もトイレも
「白人用」と「非白人用」に分けられていたアメリカで、
黒人蔑視と女性蔑視という二重の差別にさらされながら、
たぐいまれな才能を持つ女性たちがその実力とガッツで
自らの人生を切り開いていく実話ベースの物語。
ヒロインたちの高い能力を示すために、
周囲の白人男性がバカに見えてしまうような描き方をしているのは
気になったが(一応、みんなエリートのはず)、
ここかしこに張り巡らされた差別に足を引っ張られながらも
自らの実力で能力を認めさせていくのが痛快。
IBMが導入されると知るやいなや、
ドロシーがこれまで計算に携わっていた自分たちの仕事がなくなると予想し、
いち早くプログラミングを勉強し始めたり、
自らも女性蔑視で苦労しているはずの白人女性たちが
ヒロインたちに対して無意識のうちに差別していたりするのを
描いているところが、リアリティを感じさせて
「調子よすぎ」の批判を回避している。
個人的には、キャサリンの恋愛話はなかったほうがすっきりしたけど、
仕事に対する情熱とプライド、家族愛に友情、盛りだくさんの要素を
うまくまとめた良作だった。
人種差別に関する不穏な世情もときどき差しはさまれるのだけど、
問題提起をしながらも深刻になりすぎず、バランスがいい。
キャサリンが差別に対する不満をぶちまけたところでは
ちょっと泣いてしまった。
何より、ヒロインたちの知性とプライドが魅力的。