吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

桜 その2

2013年03月30日 06時24分39秒 | インポート

 昔読んだ小説で「桜の森の満開の下」というものがあった。なんとなく違和感を覚えながらも納得する部分も多かった。作者坂口安吾がこのような発想をしたのは、どこかでこのような事実を体験したのだろう。この小説をよんでからは、桜の下での花見はまだよいとしても、宴会でもしたら何か起こるのではないかと理由のない不安感を自分は感じるのである。一説によると東京大空襲の時に上野の山で多くの傷者の遺体が焼かれたそうである。坂口安吾の時代背景と合致するかどうかは知らないが、その時上の桜が満開だったという現場を目撃したらしいというのだ。医局の花見宴会は上野ではなくいつも谷中ではあったが、やはり近場である。桜はきれいであるがその下での宴会はやはり落ち着かないのである。桜に対する感情はひとそれぞれである。「きれいで華やかで同時にどこか儚く寂しい感じがする」という感覚はまだ一般的である。自分はその中にではあるが「わずかに不気味にもみえる」という感覚も垣間見えるのである。