吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

住所誤入力、救急車遅れる…死亡男性の遺族提訴 その6

2018年06月01日 05時47分54秒 | 日記
 いろいろな医療関係の裁判の判決をみていると妥当なものもあれば、むちゃくちゃな理由を医学的裏付けとして提出し、そして医療側に厳しい判決がくだった例も見受けられる。この医療裁判の難しさは医学的理由が立証しにくいことである。それを弁護士は「医学の部分」ではないところの駆け引きで自分の主張を通そうというわけである。今回の裁判もどちらに転ぶか見守りたい。
 それにしても過去、いつも消防側は弱腰なのが歯痒い。絶対医学的根拠などの証明は困難であるところであり、やるなら徹底的に最高裁までやってほしい。
 大抵はいつも「市民の皆さんゴメンナサイ」ではなかろうが、地裁レベルで白旗をあげてしまう。もし消防側が敗訴して諦めてしまうと、この判例は未来永劫残るのであるということを理解してほしい。
 過去にも早々の白旗で「死亡判断の9項目」という負の遺産を残した。

 今回のこの事例は3次救急事例なので地域メディカルコントロール協議会で十分事後検証をして、この10分以内なら助かったのか、ダメだったのかをきっちり事後検証する必要がある。
 消防、医療機関の検証医、病院における担当医を含め、医学的、かつ救急医療システム的に検討を加えるべきである。そうしないとど素人の弁護士が勝手に検証し勝手に結論でもだされたりして遺恨を残す。
 自分は過去東京消防庁の第5消防方面の救急事案の事後検証医を数年以上やってきた。ようやくメディカルコントロール制度が定着しつつあるところ、ど素人の弁護士なんぞにひっかき回されたくない。