吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

気管チューブ「切開後2週間は注意を」 死亡事例調査 その2

2018年06月20日 06時14分03秒 | 日記
 「医療従事者は認識すべき・・」という文言をみると、いかにも医療従事者全員が何も知らないとの印象を受ける。まあでも死亡者がでているので甘んじて受けるしかない。でもこのような報道をみるといかにも今までこんな事例があることも知らなかったのかとお叱りをうけているようである。
 しかしながらこのような事例による事故は大昔からあるのである。Tube troubleという用語にて「この領域に関連する医療従事者」では常識的なトラブルである。気管切開を置いたときはしっかり瘻孔部に肉芽ができてトンネルが形成されるまではステントとして気管切開チューブを2週くらい留置したままでおくのは常識である。
 そしてチューブを交換したならきちんとチューブの先端が気管内にあるのかどうか、加圧バッグで空気を送りこんで肺への空気流入音を確認する必要がある。これらのことを守っていればほぼこのようなトラブルは回避できる(100%ではないが)。
 いかにも機構のいう「お前ら全員知らないのか」的な物言いにはちょっと・・・。在宅医療が増えてきたせいで「この領域に精通しない医療従事者」が気管切開チューブを管理することが多くなってきたためこの事故がクローズアップされてきたにすぎない。
 でも実際事故はくりかえされているのでお叱りはしょうがない。