2週に1回、昼の診療時間の合間に豊島区の介護認定会議に出席している。午前の診療が終わり次第でかけるのだが、始まりまでに時間があれば区役所近隣で昼食をさっと取ることもある。時々某つけ麺屋にいくのだが、ここは入り口に食券の券売機が置いてある。そしてまず食券を購入してから入るのであるが、カウンター席の配置が鍵状になっており奥のカウンター席が死角になっていて席のすべてが見渡せないのである。着席まで待ち時間があると会議に間に合わない。したがってすぐに着席できない場合は昼食を諦めるしかないので、食券を買う前に空席を確認しなくてはならない。奥のカウンター席は死角になっているので店員に「奥は空いてますか?」と聞いたところ、「食券を買ってください。先に食券買ってください。すぐご案内できます」といわれた。言われるがまま食券を買って奥のカウンター席に向かったところ・・・。
最近、飲食店にいくと「ご案内できます」という言葉をよく聞くようになった。しかしこれほどいい加減であいまいな言葉はない。やめてほしいものだ。ある飲食店に予約の電話をいれたところ、「予約席は満席ですが、通常の御席ならご案内できます・・」と。だいたい予約の電話を入れるということは、待たないですぐに着席したいからこそ予約するのである。つまり電話の本意は待ち時間のないことが第一義なのである。にもかかわらず「通常の席ならご案内できます」という代替的な表現では、「通常の席」というものがあって我々が行く時間帯であればすぐに着席できると誤解してしまう。行って見たら何のことはない、やはりすでに満席でありテーブルが空くまで待たされたのである。「通常の席は来店順ですので、満席であればお待ちいただくことになりますが」と注釈を入れるのが本来の正しい対応である。「待つのなら他の店に行く」という客を引き止めるための姑息な手段だとしたら、なかば詐欺みたいである。説明義務違反と言えなくもない。このような曖昧な対応はやめてほしいものだ。
さて東京マラソンで思い出したが、東京オリンピック招致運動が活発化している。まだまだ先の話であろうが経済や産業も一時的には活発化するため、決して悪い行政施策ではない。このオリンピックでのうたい文句では試合会場が地方にバラけることなくコンパクトに都内で行えるということにあるらしい。まあそうなんであろうが、しかしながら疑問に思うことは大会の華であるマラソン大会は本当に都内でできるのだろうか? 1964年に行われた東京オリンピックでは悲劇の人、円谷選手がマラソンで銅メダルをとった。あれは10月も終わりに近い頃であったと思うが最近のオリンピックはほとんどが8月に行われている。8月の炎天下に都内でのマラソン大会は無理である。きっと途中脱落者が続出し、まさにサバイバルゲームになるだろう。いっそのこと「サバイバル・マラソン! 生還すれば全員金メダル」などとすれば面白いかも? あっ、いや、怒られそうである(笑)。
ある書き込みである。「僕は被り物をしてマラソン大会を走りたいのですが走力に自信がないし途中で辛くなったら脱ごうかと考えていますがどうでしょうか?」と。すると別の人から助言?があった。「途中でやめるくらいなら最初からやるのはおよしなさい。最後まで周囲を楽しませてくれるのがコスプレの使命です」と。 また別の人からの書き込みである。「私(中年男性です)はウサギの着ぐるみを着て走りましたが、暑くて重くて足が痙攣し走れなくなりました。ついに救急車で搬送されることになりましたが、救急隊員の方は私の格好をみて目が笑っていましたし、病院での待合室では他の患者さんから好奇の目で見られとても恥ずかしい思いでした」と。やはりコスプレ走をするにはよほどの走力と精神力がないとできないのだなと理解できた。M原先生、あの重い着ぐるみで42.195kmはまさに修験僧の修行みたいなものでしたね。ご苦労様でした。次ぎやるなら究極の着ぐるみミッキーマウスですね?
さて今回の東京マラソンは、どうやら世界のメジャー・マラソン大会に認定されたようである。35000人といったらちょっとした地方の市の人口くらいはある。 ・・といっても甲子園球場では5万人入るし、東京ドームならもっと入る。イベント人数から考えればたいしたことはなさそうなのであるが、でもすごいところはこの35000人というのがイベントの観客数ではなく、大会出場者数なのである。野球は両チーム併せて18人でやるが、35000人が参加して同時に試合をしているとおもったら、やはりすごいことなんだなとあらためて実感した。その中で目立っていた前述のジニーの着ぐるみを被って走ったM原先生もそうであるが、仮装でマラソン走る人はやはりよほどの走力がないとできない。恥ずかしい? そんなことはないですよね。だって顔がみえないんのだから。ところでネット上で、あるランニング・サイトのQ&Aを読んだ。こんなことが書いてあった。実にうなずけた。
この間の日曜日、都内を35000人が駆け巡る東京マラソンが行なわれた。元同僚の赤羽で開業するM原先生は何度もこの大会に出場している。確率は10倍なのになんで複数回以上も出場できるのか不思議でしょうがない。きっと何か悪徳の裏技を使って高確率で当たるように操作しているのだろう。さてこの先生は休暇をとっては海外の6000m級の山を踏破するツワモノであるが、フルマラソンなんて、登山のための「ちょっとした」体力づくりでしか過ぎないらしい。その証拠に宮古島でのトライアスロンなんかにもよく出ているそうだ。だからたかがフルマラソンなんてお遊び感覚のようである。足を怪我したといって3時間半で走ってしまうのだから大したものである。さて以前はタイガーマスクで走ったそうだが、今回のキャラクターはジニーだそうだ。沿道の人にとても喜ばれ、ものすごい声援を受けたそうだ。ハイタッチも300人以上で、本人やみつきになりそうであると。終了後、小生へのメールに書いてあったが「さて次回は何を着て走るかな?」と悪巧み?の思案中のようである。
昨年末までは本当にひどい下痢で臨床的にはノロと思われる患者さんが多発した。今年になってからはパタッと止まり、かわって1月初日からインフルエンザ陽性の患者さんが鰻上りに増えてきた。「あ~ノロは終息して今度はインフルエンザが流行するかな」と思いつつも、通常ならばノロの次はロタ・ウイルスによる下痢症が来るはずだと考えていた。ロタ・ウイルスはノロに遅れてピークがくるらしい。特徴は「白色便下痢症」といわれているくらいで、コメのとぎ汁のような乳白色のような水様便とのこと。1月中は下痢の患者さんはほとんどいなかったが2月になってまた下痢の患者さんも少しずつふえてきた。しかし異口同音に「えっ? 下痢便が白い? そんなことないですよ。茶色の水ですけど・・・」と不思議がられた。やっぱりロタではなくノロが再燃しているのだろうか? ノロ・ウイルスは迅速キットがあるので鑑別にはそれで調べればいいのだがうちは導入していない。だって1歳以下か65歳以上にしか保険適応がないものだからそりゃ使いづらい。 1歳以下のひどい下痢はうちではなく小児科にいくだろうし65歳以上でひどい下痢の方はそんなに多くは来院しません。これではこの高いキット入れても元が取れないので・・・。
五苓散という漢方薬がある。二日酔いによく効くといわれているが、嘔気嘔吐、下痢の際に腸管の浮腫みをとり症状を緩和するといわれている。要するに組織でのむくみ(水分)を尿に出すという効果があるらしい。最近自分はノロなどの感染性腸炎でひどい下痢の患者さんによく処方している。実は自分もノロにかかったときにこの漢方薬のお世話になった。下痢の回数が減ったとは実感しなかったが、これだけ大量の水分が失われている割には口渇感はなく脱水にも陥らなかった。自分の元同僚である小児科医から、吐いている子供の直腸に五苓散を溶いた溶液を注入すると嘔気嘔吐がとまると聞いた。これもどうやら即効性が期待できる漢方薬のようだ。でも小児科を標榜していない自分のクリニックでは小児にそこまでするかどうか・・・。というか「吐いている子供のお尻に何だか分けのわからない漢方薬を入れるより、さっさと点滴でもしてくれたらいいのに」と、もしかしたらお母さんに内心そう見られているかもかもしれないというヘタれた想いがブレーキをかけているのである。ああ気弱な自分だこと・・(泣)。
今度は指先の霜焼けを呈する、痩せて体力のない高齢男性に同様にこの漢方薬をだした。確かに冬場は指先が氷のようにいつも冷たい。指先が浮腫み赤黒く変色している。指先のクリームと、この漢方薬を出した。「先生、これ効いたよ」という言葉を期待していて2週後である。特に患者さんのほうから何も言わないので、こちらから切り出した。「あの~指先の霜焼けと冷えはどうでしょうか?」 患者さんは少し申し分けなさそうに「えっ? 薬? 漢方薬? あーあれは服用して数日したら胃の辺りがムカムカしてきたので飲んでいませんよ。顔もほてるようだし・・・、とにかく効きませんでしたね」 どうも数日のみで途中drop outされてしまったようである。確かに生姜が入っているので身体を温める作用がある。顔がほてったり、胃の辺りに生姜を食べた後のような温和感などが起こったりしてもおかしくはない。もう少し服用を続けられるとほてり等もおさまるとおもうのであるが・・・。この患者さんにとってはこの漢方薬は「こんなもの効かない」というイメージになってしまった。もっとも自分が証の見立てを上手くできなかったのが原因かもしれないが。
漢方薬は効く人にはピタッと効くが証(体力、体格、筋肉量などいわゆる体質)の判断を間違えるとまったく効かないようである。私のような素人漢方医がこんな簡単な理由付けなどをすると「もっと難しい診断力や専門性を必要とするのだ」と漢方専門医から怒られるであろう。そんな私のような素人漢方でも患者さんに「これ、効いたよ!」といわれると嬉しくなる。当帰四逆加呉茱萸生姜湯という漢方薬がある。これは以前、患者さんのほうから「毎年冬場はこれを飲むと手足が冷えず霜焼けにならないので冬場のみ出してくれ」と頼まれたのが最初である。冬場に手足の冷えや痺れや霜焼けを訴える患者さんは結構いる。特に今年の冬は寒いので何人かそのようなことで相談された。ちょうどこの処方を思い出したので、ある高齢婦人に出した。「先生、指の痺れがすっかりなくなった。指の冷えも少し改善している」と喜ばれた。