「sake君、11時に車に乗っけてくれ。」
と社長が言うので、「駅までですか?」と言うと、そうだと言う。
まだ1時間弱あるので、社長と私は別々の仕事をしていた。
最近の私の勤務時間のうちの半分と言うと大げさだけど、3割4割は間違いなく社長の手足になっているような気がしてならない。
自分はメールを開けもせず送信もせず、全部「sake君メール来た?」で済ませているので、私は全部きたものをわざわざプリントアウトして、机の上に置き(それも気が散らないようにトイレに行ってる間とかに)、そして社長が「これをメールして」と言うメモを、その通りに打って送る。。。
何でもないこの作業が、案外私の勤務時間を大幅に裂いているのである。
そして、業者さんの中ではそのメールが迷惑メールに紛れて気がつかなかったりする場合が多々あるので、その後に「先ほど、これこれのメールを送りましたのでご確認ください。」みたいなFAXも送っている。
その行き違いが、後々火を噴く状態になるのを知っているからである。
全部メモ書きならいいのだが、「sake君何送って」みたいなのがたまに口頭だと、私も抜ける時があるのである。しかもその間に他の人も何か言ってくるわけで、どうしても誰かの用事が抜ける時があるのである。
それが判明した時のあの怒りよう&責めようったら。。。
そのリスクを考えたら、自分でサッサとメールの開封も送信もできるようになった方が良いのに・・とは考えないのだろうか、・・と思いつつ、そうなったら私はリストラされてしまうかもしれないので、これでいいんだな、と思いながらプリンターに近づくと、ピロピロピロと紙が出てきた。
パラリとめくると、そこに書いてあるのは最寄の駅からの乗換案内であった。PCで検索してプリントアウトしたものである。
それを見て、社長がこれから電車に乗って行こうとしているのは、昔私が住んでいたあの街近辺だと言う事が分かった。
そして私は車に乗りながら、「結婚してた頃、あそこに居たんです」と言う話をしてみようかなぁ、なんて考えた。
社長と二人で車に乗っていると、本当に会話がなくて気まずいのである。「みんなそんなもんだよ」と言うけど、二人で一緒に車に乗って、しーんと言うことってありますか?
私は1人で乗るときでさえ歌かけまくりなので、しーんと言う空気が耐えられないのである。かと言って自分でペラペラ喋りだすほど、話術もないのであった。
そして11時になり、「それじゃ行くか」と社長が言うので、出かけた。
二人で車に乗り込み、エンジンを掛け車を出す。最近はダッシュボードが熱いので降りるときにCD抜いているから椎名林檎は掛からなかった。
うぅ。。しかしこの気まずい空気・・私は「社長、これから行かれる○○は昔私が住んでいたんです。」と言おうか、「昨日のゴルフはどうでしたか?」と言おうか悩んだが、それより何より他の事を考えているようなので、やめた、と言うよりだんだん面倒臭くなっていった。
あの人の「女子供なんぞオレは相手にしない」と言う態度がそうなら、どうして私がわざわざ気を遣って話題を提供する必要があるのだろうか、もともと相手にしたくない人なんだから、このまま好きにさせておこうと言う気持に収束していったのである。
そのうち社長は携帯を取り出し「あ、ごくろうさん、それで今日夕方時間ある?」みたいな話をしだして、あぁよかった・・と思いきや、電話が終ってしばらくすると、カバンをゴソゴソ懸命に探し始めた。かなり懸命に探しているので、何を探しているのだろう?と思っていると、こう言った。
「sake君、行き方の紙を置いてきちゃったけど、最初で乗り換えるのどこだっけ?」
えぇ~~~そんなのありぃ?と思ったが、これこそ私の出番じゃないか、よしきた!と思い、「実は昔、私はそこに住んでいたのです!」と言い、最初に乗り換えるのが××駅、それから3つめぐらいが△△駅で・・と言うと、社長がそんな近くじゃないだろ、もっと遠いだろうと言うので、あの人も1度はその紙に目を通した模様。
「それから北朝霞、あさか台の間はたしか歩くんです。」
「そうだ、その間は歩くんだよな。そこから何線だっけ?」
「東武東上線ですよ。」
「そうだ、東武東上線だ、それがどっちの駅?」
「それが分かりません・・すみません・・15年も前なのですっかり忘れました。」
「東武東上線は東京行きでいいんだよな。」
「そうですね。」←全然ウソ。
そんな会話をしながら私は(こう言うのって、さっき喋っていた社長のスマホで調べられないのだろうか。)と言う疑問が起こってきた。しかしそれができていたら、乗り換え案内を会社のプリンターで出すわけ無いか・・と思いそのことは黙っていた。
それじゃと駅で別れてから、「銀行に行く用事をすっ飛ばして、路線を調べて社長の携帯にメールしようか」と言うことも考えたが、それじゃ子ども扱いみたいで悪いよな、と思ってそのまま銀行に行った。
後で、Aさんとnanuさんにこの話をすると、二人とも「どうしてスマホで調べないの?」「スマホは?」と口々に言った。
「やっぱりそういうの、スマホで調べられたんですね。」と言うと、「当然!」と言う。
「私もそんな気がしたんですけど、自信がなかったので言いませんでした。」と言うと、二人とも「それでちゃんと行けたの?」と心配するので「それは大丈夫です。要所要所の駅の名前を二人で思い出せたので、あそこまで分かればあとは人に訊きながらどうにかたどり着けるはずです。」と答えた。
社長は間も無く予定通りの時間に会社に戻ってきた。
特に誰も何も言わなかった。
と社長が言うので、「駅までですか?」と言うと、そうだと言う。
まだ1時間弱あるので、社長と私は別々の仕事をしていた。
最近の私の勤務時間のうちの半分と言うと大げさだけど、3割4割は間違いなく社長の手足になっているような気がしてならない。
自分はメールを開けもせず送信もせず、全部「sake君メール来た?」で済ませているので、私は全部きたものをわざわざプリントアウトして、机の上に置き(それも気が散らないようにトイレに行ってる間とかに)、そして社長が「これをメールして」と言うメモを、その通りに打って送る。。。
何でもないこの作業が、案外私の勤務時間を大幅に裂いているのである。
そして、業者さんの中ではそのメールが迷惑メールに紛れて気がつかなかったりする場合が多々あるので、その後に「先ほど、これこれのメールを送りましたのでご確認ください。」みたいなFAXも送っている。
その行き違いが、後々火を噴く状態になるのを知っているからである。
全部メモ書きならいいのだが、「sake君何送って」みたいなのがたまに口頭だと、私も抜ける時があるのである。しかもその間に他の人も何か言ってくるわけで、どうしても誰かの用事が抜ける時があるのである。
それが判明した時のあの怒りよう&責めようったら。。。
そのリスクを考えたら、自分でサッサとメールの開封も送信もできるようになった方が良いのに・・とは考えないのだろうか、・・と思いつつ、そうなったら私はリストラされてしまうかもしれないので、これでいいんだな、と思いながらプリンターに近づくと、ピロピロピロと紙が出てきた。
パラリとめくると、そこに書いてあるのは最寄の駅からの乗換案内であった。PCで検索してプリントアウトしたものである。
それを見て、社長がこれから電車に乗って行こうとしているのは、昔私が住んでいたあの街近辺だと言う事が分かった。
そして私は車に乗りながら、「結婚してた頃、あそこに居たんです」と言う話をしてみようかなぁ、なんて考えた。
社長と二人で車に乗っていると、本当に会話がなくて気まずいのである。「みんなそんなもんだよ」と言うけど、二人で一緒に車に乗って、しーんと言うことってありますか?
私は1人で乗るときでさえ歌かけまくりなので、しーんと言う空気が耐えられないのである。かと言って自分でペラペラ喋りだすほど、話術もないのであった。
そして11時になり、「それじゃ行くか」と社長が言うので、出かけた。
二人で車に乗り込み、エンジンを掛け車を出す。最近はダッシュボードが熱いので降りるときにCD抜いているから椎名林檎は掛からなかった。
うぅ。。しかしこの気まずい空気・・私は「社長、これから行かれる○○は昔私が住んでいたんです。」と言おうか、「昨日のゴルフはどうでしたか?」と言おうか悩んだが、それより何より他の事を考えているようなので、やめた、と言うよりだんだん面倒臭くなっていった。
あの人の「女子供なんぞオレは相手にしない」と言う態度がそうなら、どうして私がわざわざ気を遣って話題を提供する必要があるのだろうか、もともと相手にしたくない人なんだから、このまま好きにさせておこうと言う気持に収束していったのである。
そのうち社長は携帯を取り出し「あ、ごくろうさん、それで今日夕方時間ある?」みたいな話をしだして、あぁよかった・・と思いきや、電話が終ってしばらくすると、カバンをゴソゴソ懸命に探し始めた。かなり懸命に探しているので、何を探しているのだろう?と思っていると、こう言った。
「sake君、行き方の紙を置いてきちゃったけど、最初で乗り換えるのどこだっけ?」
えぇ~~~そんなのありぃ?と思ったが、これこそ私の出番じゃないか、よしきた!と思い、「実は昔、私はそこに住んでいたのです!」と言い、最初に乗り換えるのが××駅、それから3つめぐらいが△△駅で・・と言うと、社長がそんな近くじゃないだろ、もっと遠いだろうと言うので、あの人も1度はその紙に目を通した模様。
「それから北朝霞、あさか台の間はたしか歩くんです。」
「そうだ、その間は歩くんだよな。そこから何線だっけ?」
「東武東上線ですよ。」
「そうだ、東武東上線だ、それがどっちの駅?」
「それが分かりません・・すみません・・15年も前なのですっかり忘れました。」
「東武東上線は東京行きでいいんだよな。」
「そうですね。」←全然ウソ。
そんな会話をしながら私は(こう言うのって、さっき喋っていた社長のスマホで調べられないのだろうか。)と言う疑問が起こってきた。しかしそれができていたら、乗り換え案内を会社のプリンターで出すわけ無いか・・と思いそのことは黙っていた。
それじゃと駅で別れてから、「銀行に行く用事をすっ飛ばして、路線を調べて社長の携帯にメールしようか」と言うことも考えたが、それじゃ子ども扱いみたいで悪いよな、と思ってそのまま銀行に行った。
後で、Aさんとnanuさんにこの話をすると、二人とも「どうしてスマホで調べないの?」「スマホは?」と口々に言った。
「やっぱりそういうの、スマホで調べられたんですね。」と言うと、「当然!」と言う。
「私もそんな気がしたんですけど、自信がなかったので言いませんでした。」と言うと、二人とも「それでちゃんと行けたの?」と心配するので「それは大丈夫です。要所要所の駅の名前を二人で思い出せたので、あそこまで分かればあとは人に訊きながらどうにかたどり着けるはずです。」と答えた。
社長は間も無く予定通りの時間に会社に戻ってきた。
特に誰も何も言わなかった。