私は破れたストッキングは糸でかがることにしている。
去年までは黒いストッキングだけだったが、今年からは肌色のストッキングも糸(白糸だったが最近肌色も買った)でかがって穴をふさいでいる。穴が開くのは大抵つま先かかかとなので、靴を履いてしまえば分からない。お陰で今年はまだ1足も新しいストッキングをおろしていない。(もっとも休日は靴下で過している。)
洗濯物をたたんでいると、ストッキングがまた破れているのに気がついた。
それではまた縫おうかと思い、裁縫箱(kekeが小学生時代に使ったもの)を持ってきて針と糸を取り出したが、よく見ると、それはもう何度も履いて擦り切れたためにできた、かかとの穴であった。
それを見ながら「もうこれは意味が無いな」と私は思った。
ここで穴をふさいだ所で、ストッキング自体がもう擦り切れていて、すぐにまた穴があくのが分かりきっているからである。無理に糸でかがって引っ張れば、穴もあきやすくなる。
これは伝染が目立つ所に来るまで履いて、あとは捨てるしかない。そう思った。
そう思って、たぶん昨日のガンの話もそれと似ているのかもしれない。
針と糸を使って穴を塞いで、またしばらく長く使えることもあるだろうし、使って塞いだ所で「たぶんもうダメだろう」と言うこともあるのだろう。それは経験と勘であろうし、それが必ずしも正しいとは限らないのだろう。
なんて人間はちっぽけな存在なんだ。
大局から見たら、どっちも大して変わらない。5年10年長く生きた所でそれが何だって言うのだろう。
でも私は自分の体を大切にしたい。誰からもかまってもらえないちっぽけな自分を。
夕方はkekeと食事に出る。
食事券をいただいたので、昼にするか夕食にするかと言うと、私が週末は8,000歩歩きたいというのを知っていたので、kekeは「歩くなら夜のほうがいいのでは」と言い、少し早めの夕飯にでかけた。
たまにこうしてkekeと出かけるようになった。一時は本当に出かけることはなかったし、まさかこうして一緒に歩いて食事に行く日が来るとは思わなかった。
私は今でこそ車で動くが、それまでは歩きか自転車だったし、kekeはもともと歩くので億劫ではなかった。
最近kekeは昼間の仕事に変えたようである。でも毎日仕事をしているようでもないし、忙しい時と閑散期があるようだった。「昼間の仕事と夜の仕事は選べるのか?」と言うと、どうやらそうらしい。いろいろやってみるのも良かろう。
「あ、そうだ」と私は言い、「少し貯金をするといいよ、生命保険には結婚するまで入らなくてもいいけど、後から入る時には月々の払いが大きくなるから、その分は今から貯めておいた方がいい」と言う話をした。
「生命保険は入る必要があるのか」と言うので、「独身のうちは要らない。家族ができたら妻や子供のために入っておいた方がいいかも」と答えた。
しかし、私は申し訳ないが入っていない。そんな余裕はなかった。でももう私がいなくなっても、自分でどうにか生けていける年齢まで育てられた。逃げ切りである。
kekeは「椎名林檎が全国ツアーをするらしい」と言う話をして、「1度ライブに行ってみるといいよ」と言う。ライブはまた全然雰囲気が違っていいと言う。
「だって高いのだろう?」と言うと、「7,500円ぐらいするのかな」と言うので、「そんなに払うのか?それでうんと小さくしか見えないのだろう?」と言うのだが、1度行ってみて損は無いと言う。「でもたぶんファンクラブ優先だし、チケットは取れないかな。」と言い、「でももしも取れたら、その7,500円は自分が出すから行ってみたら」とまで言う。
kekeは稼いだお金で好きなアーティストのライブに行くのが楽しみなのだ。
kekeと歩きながら、今ここにある幸せをかみしめる。
ずっとこうしていてもいいし、kekeが1人で暮らしたいのならそれもいい。
歩いたのは往復で6,000歩ぐらいになった。
去年までは黒いストッキングだけだったが、今年からは肌色のストッキングも糸(白糸だったが最近肌色も買った)でかがって穴をふさいでいる。穴が開くのは大抵つま先かかかとなので、靴を履いてしまえば分からない。お陰で今年はまだ1足も新しいストッキングをおろしていない。(もっとも休日は靴下で過している。)
洗濯物をたたんでいると、ストッキングがまた破れているのに気がついた。
それではまた縫おうかと思い、裁縫箱(kekeが小学生時代に使ったもの)を持ってきて針と糸を取り出したが、よく見ると、それはもう何度も履いて擦り切れたためにできた、かかとの穴であった。
それを見ながら「もうこれは意味が無いな」と私は思った。
ここで穴をふさいだ所で、ストッキング自体がもう擦り切れていて、すぐにまた穴があくのが分かりきっているからである。無理に糸でかがって引っ張れば、穴もあきやすくなる。
これは伝染が目立つ所に来るまで履いて、あとは捨てるしかない。そう思った。
そう思って、たぶん昨日のガンの話もそれと似ているのかもしれない。
針と糸を使って穴を塞いで、またしばらく長く使えることもあるだろうし、使って塞いだ所で「たぶんもうダメだろう」と言うこともあるのだろう。それは経験と勘であろうし、それが必ずしも正しいとは限らないのだろう。
なんて人間はちっぽけな存在なんだ。
大局から見たら、どっちも大して変わらない。5年10年長く生きた所でそれが何だって言うのだろう。
でも私は自分の体を大切にしたい。誰からもかまってもらえないちっぽけな自分を。
夕方はkekeと食事に出る。
食事券をいただいたので、昼にするか夕食にするかと言うと、私が週末は8,000歩歩きたいというのを知っていたので、kekeは「歩くなら夜のほうがいいのでは」と言い、少し早めの夕飯にでかけた。
たまにこうしてkekeと出かけるようになった。一時は本当に出かけることはなかったし、まさかこうして一緒に歩いて食事に行く日が来るとは思わなかった。
私は今でこそ車で動くが、それまでは歩きか自転車だったし、kekeはもともと歩くので億劫ではなかった。
最近kekeは昼間の仕事に変えたようである。でも毎日仕事をしているようでもないし、忙しい時と閑散期があるようだった。「昼間の仕事と夜の仕事は選べるのか?」と言うと、どうやらそうらしい。いろいろやってみるのも良かろう。
「あ、そうだ」と私は言い、「少し貯金をするといいよ、生命保険には結婚するまで入らなくてもいいけど、後から入る時には月々の払いが大きくなるから、その分は今から貯めておいた方がいい」と言う話をした。
「生命保険は入る必要があるのか」と言うので、「独身のうちは要らない。家族ができたら妻や子供のために入っておいた方がいいかも」と答えた。
しかし、私は申し訳ないが入っていない。そんな余裕はなかった。でももう私がいなくなっても、自分でどうにか生けていける年齢まで育てられた。逃げ切りである。
kekeは「椎名林檎が全国ツアーをするらしい」と言う話をして、「1度ライブに行ってみるといいよ」と言う。ライブはまた全然雰囲気が違っていいと言う。
「だって高いのだろう?」と言うと、「7,500円ぐらいするのかな」と言うので、「そんなに払うのか?それでうんと小さくしか見えないのだろう?」と言うのだが、1度行ってみて損は無いと言う。「でもたぶんファンクラブ優先だし、チケットは取れないかな。」と言い、「でももしも取れたら、その7,500円は自分が出すから行ってみたら」とまで言う。
kekeは稼いだお金で好きなアーティストのライブに行くのが楽しみなのだ。
kekeと歩きながら、今ここにある幸せをかみしめる。
ずっとこうしていてもいいし、kekeが1人で暮らしたいのならそれもいい。
歩いたのは往復で6,000歩ぐらいになった。