津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

興長諫書への清高院返書

2009-07-04 13:01:38 | 歴史
 永青文庫に「秘書」なる文書が残されている。綱利家督の経緯や、生母・清高院や綱利への諫書が収められているのだが、書き残したのは後の大奉行・堀勝名である。まさに秘事であり、奥深く収められていたものであろう。

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 承應二年佐渡(長岡興長)在府之内、君(綱利)御幼年ニ而、御母清高院様美麗を御好、不時の御遊宴なと日夜御物入多かりけれハ、沢村宇右衛門と会談し、十三ケ条の諫書を調へ、御老女海津(岩間六兵衛室)を以て呈進せしかハ、御返事を下し賜ふ 諫書、仮名書にて事長けれハ略す


 一筆まいらせ候、先々その屋しきニ而、御六殿(綱利)一たん御きけんの事めてたく存
 候、此屋しきにて七之助殿(細川利重)御そく才ニ御座候まゝ、御心やすかるへく候、
 扨ハひとひの書付のおもて、くわしく見申候御事ニ御座候、万 御六殿御ためと御ざ候
 ての、いけんうけ給らぬハいかゝとそんし候て、ばんじかってんいたし申事ニ御座候

 三千石にて、いかやうといたし申へきよし御申給候、おゝかたの事ハ、もと/\の十歩
 一(十分の一)ほとに申つけ候ハんと存候、台所むきも左様にいたし候ハんと申事ニ御
 座候、左様にてハ中々申間敷よし申候而、せうしニそんし候、此上ハせひにおよハぬ事
 にて御入候まゝ、両人の御そうたんなされ給へく候、くわしき事ハかいつ(老女・海津)
 へ申候まゝ、左様に御心得候へく候、御ふたり御としより候て、かやうニいけん御申と、
 そんしうけ給候まゝ、今よりさき/\もあしき事御ざ候ハゝ、御申候て給るへく候、めて
 たくかしく、
  返す/\、くわしき事は、かいつへ申候まゝ、左様に御心得候へく候、かしく、
    五月十七日                   清高院
      長岡さとのかミ殿
      沢むらうへもん殿

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 綱利は寛永20年(1643)のうまれ、慶安3年(1650)七歳で遺領相続をしている。
諫書が上げられたのは承應2年(1653)のことだが、この年十二月六丸は登城して従四位下侍従に叙任、諱の一字を拝領して越中守綱利と名乗った。

 万治三年(1660)、興長は綱利に対して諫書を上げる。綱利の目にあまる「相撲道楽」についてである。次回ご紹介する。
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浅井鼎水と玄祖父

2009-07-04 11:36:47 | 新聞
 今日の熊本日日新聞「言葉のゆりかご」に、浅井鼎水(新九郎)が紹介されている。
元治期当方の玄祖父・上田久兵衛とともに、京都留守居役を勤めている。云わずと知れた浅井長政のご子孫である。副奉行、側用人などを勤めた。記事によると晩年は細川家墓所泰勝寺内に閑居したとされる。「死後も殿様のお側で御霊をお守りしたい」とのことで、程近い細川刑部家の墓所がある慈眼庵に眠っておられる。浅井家のお墓のすぐお隣には、豊前小倉時代の浅井家を経済的援助をされたという牧家の墓所が在る。(浅井家と牧家との関係は、杵築史談会発行の、久米忠臣氏著「生きていた浅井長政・お市の次男-万菊丸」に詳しい)

 原画がどこにあるのか承知していないが、各藩の京都留守居役が酒宴をしている絵が残されている。女中を含め十七人ほどが描かれている。当然浅井新九郎や上田久兵衛などもまじっているのだが、久兵衛は上半身裸の太鼓腹をひろうして一人立ち上がっている。
「肥大なること豚の如し」と言われた久兵衛である。

 2006年03月15日のブログに、次のようなことを書いた。
【上田久兵衛は体躯大なるひとであったらしい。京都留守居役として、幕末の京都を駆け回り、朝幕融和に走り回った。僅か一年数ヶ月のことである。実学党が声を上げた「肥大なること豚の如くして、天地間無用の人物」と。横井小楠は大変口の悪い人であったと言うから、案外出所はその辺りかも知れない。この「天地間無用の人物」と云う言葉は、旗本成島柳北が、幕府の要職から身をひくに当たって、自らをそう称したらしい。東京情報大学助教授、乾照夫氏の「成島柳北と東京珍聞」に詳しい。久兵衛は笑って相手にしなかったというが、出所を承知していたのかもしれない。流行り言葉であったかも知れない。】
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