熊本大学の広報誌「熊大通信」75号に、「熊大の本棚」という特集が組まれていて5点の本が紹介されている。
その中の気になる二点をご紹介しよう。
■建築の森・熊本を歩く
熊本大学大学院先端科学研究部・田中智之教授(TASS建築研究所主宰)の著作。
田中智之教授とドローイング
内容紹介
熊本県では「くまもとアートポリス事業」が25年以上も続いており、
建築界を賑わす現代建築が各地に建てられているほか、明治の歴史遺産や
DOCOMOMO選定の近現代建築も数多く、国内外から注目される建築都市である。
本書ではこの熊本を「建築の森」と称し、70件の建築物を、
色や構造、窓、境界、素材など35のテーマで紹介する。
テキストとともに、壁を透視し、建物の構造や内部を細やかに描き出す
著者独自の透視図によって、これまでにない建築の読み解き方、楽しみ方をいざなう。
■主なテーマ
・うつろう……熊本中央警察署×熊本南警察署熊本駅交番
・つむぐ………小国ドーム×芦北町地域資源活用総合交流促進施設
・のぞむ………熊本県立あしきた青少年の家×JR熊本駅白川口(東口)駅前広場
・ととのう……馬見原橋×熊本駅前立体横断施設
・ぼかす………清和文楽館・物産館・郷土料理館×PAVILION
・おりたつ……九州新幹線新水俣駅×美里町林業総合センター
・あやなす……熊本県医師会館×熊本市医師会館・看護専門学校
・かえる………芦北町立佐敷小学校×宇土市立宇土小学校
・つなぐ………旧小国町立西里小学校×旧津奈木町立赤崎小学校
・いきる………熊本県立美術館分館×孤風院
・まとう………ジェーンズ邸×苓北町民ホール
など計35テーマ、70作品を紹介。
■踏絵を踏んだキリシタン
熊本大学人文社会科学研究部・安高啓明准教授の著作
余計事:ブラタモリ「島原・天草~なぜキリシタンは250年も潜伏できた?~」で説明役を務めた。
その説明の一端がこの著書からもうかがえる。
内容紹介
キリスト教信者摘発のために始まった絵踏は、なぜ形骸化し年中行事となったのか。絵踏が行なわれていた長崎をはじめ九州諸藩が抱える事情や作法・形態・手順、踏絵素材の変更などを明らかにし、キリシタン捜索手段から信者でないことを証明する手段への変容過程を探る。悲劇的文脈で語られてきた従来の絵踏観に一石を投じ、潜伏キリシタンの姿に迫る。