大晦日見るでもなくTVの「探偵・ナイトスクープ」の音声を聞いていたら、本の重みに耐えかねて二階の床が抜け落ちたといっている。
これは面白そうだとTVの前に陣取ると、本当に二階の6帖ほどの床が見事に抜けていた。
今年のベスト3を放送していたようだが、このスクープが№2を獲得したというから、ただ物理的な現象ではないようだ。
なんと購入した本の金額は2,000万円ほどになるといい、数十年それが全く読まれることもなく新品のまま保存されていたという。
古本屋さんが驚きながら見積もりをしてみると、一部を残して処分することにして700万円、6時間ほどを懸けて搬出、6トンに及んだという。
700万円で抜けた床を直し、内装を新たにして残した本に初めて目を通したという。
1,300万円の「ー」となったわけだが、ご本人はあまり頓着がなさそうですっきりされている。
吹っ切れたという感じだが、さてこの後本の購入はどうされるのだろうか。
二階の床が抜け落ちたということは、建築の専門家としては大いに気になる。
運び出した量が6トンに及んだというが、6帖というとほぼ10㎡、1㎡当たりの積載荷重は600㎏になる。
これでは落ちるだろう。建築基準法では、一般の住宅の床の積載荷重は180㎏が規定だから3倍以上に及んでいる。
図書館の床荷重が600㎏で設定されているから、まさに木造床構造の図書館といった状況があった。
多分、中央部で梁が折れ根太が折れ、連鎖的に崩れ落ちたのだろう。ご本人はどこに居られたのか知らないが、命あっての物種である。
熊本地震の時、本の山の下敷きになった人の話をいくつか聞いたが、床が抜けたり命を亡くしたりした人の話はほとんど聞かない。
「本の下敷きで死ねば本望だよ」という人もいるが、「本で床は抜けるのか」の著者西牟田靖氏の文章を読むと、崩れ落ちた本の山の中で亡くなった某氏が発見されたのは、探し始めて二日目だったとある。
数万冊が崩れ落ちると床は抜けずともこのようになる。
私はといえば、たかだか6~700冊の本と、本の1/2程の要領の資料類に取り囲まれているが、いまだ奥方にしかられながらも本や資料が増殖している。
精々本棚が倒れてきた時のことは頭に入れて置かなければならない。そしてそろそろ本の終活も考えておかなければならない。