町屋文化センターに足を運び、小泉定弘写真展『漁師町浦安の生活と風景』を観る。
すべて1960年代の後半から70年代の前半に、浦安で撮られたスナップ写真である。もちろん記録的な価値も大きいが、浦安で生活する人々の表情や、昔の風景がしみじみと良い。貝剥きの少女(なぜかカメラの方を睨んでいる)。貝灰工場で働く、顔をタオルで巻いた人。海苔干し。堀江の江戸川沿いの湿地帯。ゴカイ売買が終わって満足そうな人。船宿・吉野の中や船(山本周五郎『青べか物語』のモデル)。江戸川から東京湾へと出ていく多くの舟。境川。
ちょうど前日に行ったばかりだという研究者のTさんによれば、すべてキヤノンのレンジファインダー機で撮られており、そのほとんどは50mmレンズによるものだという。確かに肖像シリーズなどにはその距離感を感じる。
RCペーパーに新しく焼かれたものだろうか、黒い縁を出す形の綺麗なプリントだった。
●参照
北井一夫『境川の人々』、浦安写真横丁2008
浦安市郷土博物館『青べか物語』展
浦安市郷土博物館『三角州上にできた2つの漁師町』
ハマん記憶を明日へ 浦安「黒い水事件」のオーラルヒストリー
浦安市郷土博物館『海苔へのおもい』
浦安・行徳から東京へのアクセス史 『水に囲まれたまち』
浦安市郷土博物館
『広重名所江戸百景/望月義也コレクション』(境川を描いた作品がある)
江戸川漂流と慈悲地蔵尊
ロモLC-Aで浦安(と、丸の内)
すぐに過去形になる桜と境川 FUJI GW680 III
当代島稲荷
『青べか物語』は面白い