島村英紀『火山入門 日本誕生から破局噴火まで』(NHK出版新書、2015年)を読む。
本書は、本当の意味での入門書だと思う。プレートテクトニクスやプリュームテクトニクスなどをもとに、手際よく火山のメカニズムを説明している。また、火山にもさまざまなタイプがあり、それらの噴火の歴史を追うことによって、長い目で見れば日本における大規模な噴火は必然であることを示している。さらに、それがどこでいつ起きるかについて確実なことを言うことは難しく、予知も地震と同様に極めて難しいことを、明らかにしている。
これまで、マグニチュード9クラスの地震のあとには、必ず数年間の間に、近くで複数の噴火が起きていた。東日本大震災のあとには大きな噴火がなかったが、結局、2014年の御嶽山噴火が起きた。これからも起きる可能性は十分にあり、その「近く」とは震源から600キロメートル以内であった。
地震の影響だけではない。長い目で見れば、この100年ほどは異常に静かな時期であったという。そして、火山や地震に対しては、時期や場所や規模を特定する「予知」ではなく、長い時間と広い場所を視野に入れることが、むしろ科学的な知見であるということができる。すなわち、いつ何時、さしたる予兆もなく、日本のどこかの死火山と思われている場所からさえ、巨大噴火は起こりうるということである。
●参照
島村英紀『「地震予知」はウソだらけ』
ロバート・ゲラー『日本人は知らない「地震予知」の正体』
黒沢大陸『「地震予知」の幻想』
大木聖子+纐纈一起『超巨大地震に迫る』、井田喜明『地震予知と噴火予知』
石橋克彦『南海トラフ巨大地震』
石橋克彦『原発震災―破滅を避けるために』
『The Next Megaquake 巨大地震』
『Megaquake III 巨大地震』
『Megaquake III 巨大地震』続編