グループ「失望」(Die Enttauschung)の最近の作品を見つけた。ドイツ語で『Vier Halbe』(Intakt Records、2012年)であり、英語でいえば「Four Halves」、つまり半分がよっつ。相変わらず謎めいているが、まあ確かに4人である。ただしみんな半人前ではない。
Rudi Mahall (bcl, bs)
Axel Dorner (tp)
Jan Roder (b)
Uli Jennessen (ds)
このグループのことを知ったのは、90年代後半のルディ・マハール来日時のこと。シュリッペンバッハ・トリオのエヴァン・パーカーの都合が悪くなって、マハールが代役に抜擢されたのだった。そのとき、マハールは「失望」によるセロニアス・モンク集(アナログ2枚組)を新宿ピットインに持ち込んでいた。シニカルでかつ愉快、わたしはすっかり魅せられてしまった。
どうやら結成は90年代前半のようだ。気が付くと、ベルリンにおいて20年くらい続く長寿グループになっている。
佇まいも奇怪だが、音も奇怪。マハールもドゥナーも、他のふたりも、アンサンブルだとか気持ちのいいユニゾンだとかいったものは最初から棄てさっている。それぞれが出したい音を出し、浮かれ果て、同時に自らの姿を冷ややかに視ているような感覚だ。もちろんハチャメチャに破綻しているわけではない。どの結節点でつながっているのか曖昧で、開かれているのである。それにしても、マハールのバスクラは相変わらず絶品だ。
なぜだろう、聴いているとブリューゲルの絵をイメージしてしまう。
●参照
『失望』の新作
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(マハール、ドゥナー参加)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbestandige Zeit』