武満徹が作曲した映画音楽を集めた、『夢の引用/Quotation of Dream - Love and Soul of Toru Takemitsu』(Intoxicate、2006年)という風変りなアルバムがある。
鈴木大介 (g)
Brandon Ross (g, African harp, vo)
Stomu Takeishi (b)
風変り、というのは、モチーフもさることながら、クラシックギターの鈴木大介とジャズギターのブランドン・ロス、ジャズベースのツトム・タケイシというコンビネーションについても言える。これが素晴らしく、また、「○と△の歌」などにおけるロスのヴォーカルもなめらかで良い。
武満徹については、映画音楽以外ろくに聴いていないのではあるが、けだるく、甘酸っぱく、諦めたような感覚の曲が少なくないような気がしている。それを名手3人にこんなふうにしっとりと弾かれると降参である(何に?)。
「狂った果実」といえば、ジョン・ゾーンが太田裕美やクリスチャン・マークレイを起用して取り上げた『Spillane』がどうかしている代物だったが(武満の曲ではない)、ここに収録された演奏も静かに狂っている。
●参照
武満徹『波の盆』
元ちとせ『平和元年』(武満徹と谷川俊太郎の「死んだ男の残したものは」を歌う)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(武満徹の「他人の顔」を演奏)
ワダダ・レオ・スミス『Spiritual Dimensions』(ブランドン・ロス)
ヘンリー・スレッギル(10) メイク・ア・ムーヴ(ブランドン・ロス、ツトム・タケイシ)
ヘンリー・スレッギル(7) ズォイドの新作と、X-75(ツトム・タケイシ)
ヘンリー・スレッギル(5) サーカス音楽の躁と鬱(ブランドン・ロス)
ヘンリー・スレッギル(1)(ブランドン・ロス)
マイラ・メルフォード Snowy Egret @The Stone(ツトム・タケイシ)
マイラ・メルフォード『Snowy Egret』(ツトム・タケイシ)