Sightsong

自縄自縛日記

ティム・バーン『Shadow Man』

2015-09-01 22:19:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

ティム・バーン『Shadow Man』(ECM、2013年)を聴く。

Tim Berne (as)
Oscar Noriega (cl, bcl)
Matt Mitchell (p, tack, Wurlitzer p)
Ches Smith (ds, perc, vib)

先日、気が向いて最新作の『You've Been Watching Me』を聴いてみると、昔の勝手な印象を見事に覆してくれるノリであり、喜んでしまった。そんなわけで、JOEさんの推薦に従い、前作のこれを入手した。

いつ果てるともわからない猜疑心と陰謀の連鎖のような、執拗で薄暗いサウンド。それを支配するバーンのアルトは、ひたすら粘っこく、しかも腹の底がむずむずと笑いで満たされるようなポップ感もある。オスカー・ノリエガのバスクラも粘り、土蜘蛛のように下をうごめく。聴きながらなんども息を呑む。

●参照
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
イングリッド・ラブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)(ノリエガ参加)
エド・シュラー『The Force』(1994年)(ノリエガ参加)


ジョナサン・フィンレイソン『Moment & the Message』

2015-09-01 00:13:28 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョナサン・フィンレイソン『Moment & the Message』(Pi Recordings、2012年)を聴く。

Jonathan Finlayson (tp)
Miles Okazaki (g)
David Virelles (p)
Keith Witty (b)
Damion Reid (ds)

ジョナサン・フィンレイソンはスティーヴ・リーマンの諸作に参加しているトランぺッターであり、最近では、リバティ・エルマン『Radiate』にも参加している。そんなわけで聴いてみたのだが、少なからず驚いた。なんだこれは。

アルバム全体を通じて、時間はこなごなに解体され、そのフラグメンツがパズルのように自在に組み合わされ、組み上げられ、またいつの間にかゲームの出発点。それとは並行して時間の流れを創り上げるダミオン・リードのドラムスは、ちょっとフェローン・アクラフを思わせる感覚もあって素晴らしいのだが、しかし、主役は何といってもフィンレイソンとマイルス・オカザキのギターだ。

その、時間がロジカルに流れているのかどうかわからない異空間にあって、このふたりは立脚点を随時発見しては、魅力的なソロを繰り出しまくる。傑作、大推薦。

●参照
リバティ・エルマン『Radiate』
スティーヴ・リーマンのクインテットとオクテット