Sightsong

自縄自縛日記

ホイットニー美術館の「America is Hard to See」展

2015-09-29 23:19:33 | 北米

NYのホイットニー美術館が、今年(2015年)になって移転・再オープンした。設計はレンゾ・ピアノである。

移転前も新設工事中も観ていたこともあり、楽しみにしていた。メーリングリストにて送られてくるニュースによれば、8月にマタナ・ロバーツ、9月の頭には小杉武久が演奏しており、近くにあったならどんなにいいだろうかと思った。


今回(2015年9月)


移転前(2014年6月)

このタイミングで開催されていた展覧会は「America is Hard to See」展。社会的にも、政治的にも、人種的にも、そして文化的にも、とてもひとつに括ってとらえることができない「アメリカ」をターゲットにしたものとして、とても興味深い。

いくつか印象的な作品。

ロメア・ビアーデンの「Eastern Barn」。デューク・エリントン『Live at the Whitney』のジャケットに採用された絵である。

言うまでもなくアメリカは移民の国である。これは、オスマン帝国政府によるアルメニア人大虐殺(1915年)によって母親を失ったアーシル・ゴーキーによる作品であり、両親の肖像写真をもとに描かれている。

ベン・シャーンはリトアニアでユダヤ人として生まれ、20世紀初頭にアメリカに移住した。この作品は、1920年にアメリカで死刑に処せられたイタリア人移民をモチーフにしている。かれらはアナーキストではあったが、犯罪自体は冤罪であったとされる。シャーンならではの作品か。

こんなものがあったのか、エドワード・ホッパーによる名作「Nighthawks」の習作。

抽象表現主義のバーネット・ニューマンフランツ・クラインマーク・ロスコの作品が並んでいるのは壮観。そしてニューマンはロシア系移民の子、ロスコはラトビアからの移民。

ジェフ・クーンズナムジュン・パイクという消費社会時代の美術家を同時に観ることができるのも、アメリカならではだ。

2001年の「9・11」後、アメリカ社会はさまざまな方向に変質し、アーティストも突き動かした。ポーランド出身のアレクサンドラ・ミアは、2007年、マンハッタンのギャラリーをプレスルームのように偽装し、「9・11」前のタブロイド紙などをモチーフにした作品を作り出した。

●参照
ホイットニー美術館のジェフ・クーンズ回顧展


サシャ・ペリー@Smalls

2015-09-29 00:46:52 | アヴァンギャルド・ジャズ

NY滞在中に最後にもうひとつだけライヴを観ようと、Smallsに足を運んだ(2015/9/27)。目当ては22:30からのサシャ・ペリーのステージである。

Sacha Perry (p)
不明 (b)
不明 (ds)

以前に『eretik』を聴いて、バド・パウエルやエルモ・ホープを思わせるスタイルに好感を持っていたのだが、驚いたことに、目の前のペリーはセロニアス・モンクの亜流と化していた。頭の中を疑問符が浮かび、素直に聴くことはとてもできなかった。

Nikon P7800

●参照
サシャ・ペリー『eretik』


イヴァ・ビトヴァ@Poisson Rouge

2015-09-29 00:33:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

55 Barを出て近くのPoisson Rougeに行き、21時からのイヴァ・ビトヴァのステージを観た。

Iva Bittova (vo, vln)
The Window Quartet (as, p, b, ds)

何年か前、キャンベラでのステージを見逃していたこともあって、ようやく、甲高いヴォイスと東欧的なヴァイオリンを聴くことができた。最近は日本でも演奏しているのかな。

それはいいのだが、ビトヴァは少し弾いて唄っては、ステージ脇に退き、カルテットの演奏を見守っている。それもあまり水準が高いとは思えない。しかも、ステージの照明は眩しくてくらくらする。

そんなわけで、不満だらけのステージだったのだが、周囲を見渡すと、みんな陶然とした顔で笑っている。なにが起きているのだろう。 

Nikon P7800


マット・ウィルソン@55 Bar

2015-09-29 00:16:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

55 Barでは、18時からのライヴをやる場合にはチャージを取らず飲み物代だけ。ちょうど、マット・ウィルソンの誕生日を兼ねたライヴだということで覗いてみた(2015/9/27)。

この日はウィルソンが若者で編成した新グループのお披露目。誕生日ということでウィルソンがスピーチをすると、いちいち店の名物オヤジが出てきて「あと30年で死ぬ」だのなんだのと混ぜっ返して、店内は大爆笑。

Bryan Qu (ts)
Evan Wright (g)
Nick Dunston (b)
不明 (vo)
Matt Wilson (ds)

ウィルソンはやはりディスクで聴く通りのドンシャドンシャというドラムス。笑いながらメンバーの引き立て役に徹していた。

この日すごく目立っていたのが、テナーサックスのブライアン・キュー。吹くたびにアプローチを工夫していて、自信に満ちていてとてもよかった。あとで聴くと、中国生まれの北米育ちだという。

 

Nikon P7800