Sightsong

自縄自縛日記

アダム・ラーション@Smalls

2015-09-24 21:22:57 | アヴァンギャルド・ジャズ

Village Vanguardでのカート・ローゼンウィンケルのギグが終わって、そのまま近くのSmallsを覗く(2015/9/23)。Zinc Barでミーシャ・ピアチゴルスキが演奏しているようなのでそちらにとも思ったが、もう少し先まで歩かなければならず、また最初ピアチゴルスキと演奏する予定だったはずのドラマーのルディ・ロイストンがこちらに入っており、聴いてみたかった。

なお、ピアチゴルスキのグループでは、アリ・ホーニグが叩いているようだった。

Adam Larson (ts)
Fabian Almazan (p)
Joshua Crumbly (b)
Rudy Royston (ds)

アダム・ラーションはいちども聴いたことがないサックス奏者であり、みるからに若い。Smallsらしきハードバップを展開するのかと思いきや、非常に個性的な音色を持ったテナーだった。何しろスモーキーで、フレーズに淀みがない。もう自信満々な感じである。

ロイストンのドラムスはキレキレで、音圧も強く、一番の喝采を浴びていた。ファビアン・アルマザンのピアノは全方位的にバランスが取れていて、きらびやかだった。

ところで何度か来た限りの印象では、このSmallsは不思議なところで、観客のリラックス度が異常に高い。みんな雑談したりスマホを使ったりしていて、中にはイチャイチャしている男女もいる。この日などは泥酔した若い女の子が踊りまくり、観客に「カモーン」と一緒に踊ろうと呼びかけていた(誰も応じなかったが)。それでもみんなが演奏を楽しみ、隙あらば前の良い席に移動してくる。わたしは好きである。

Nikon P7800


カート・ローゼンウィンケル@Village Vanguard

2015-09-24 20:50:54 | アヴァンギャルド・ジャズ

ブルックリンのRouletteからまたマンハッタンへと戻り、Village Vanguardでのカート・ローゼンウィンケルの2nd setに急いだ(2015/9/23)。

Village Vanguardは予約を電話でしか受け付けないところだが、昼間に電話してみると「金土はもうソールドアウト」との留守電で、注目度の高さがうかがえた。そんなわけで夕刻また電話して予約を入れたのだが、電車を間違えて時間がかかり、到着したのは開場の22時を過ぎていた。中はすでに満員だったが、運よく前の方の席が空いていた。

Kurt Rosenwinkel (g)
Eric Revis (b)
Nasheet Waits (ds)

3人があらわれ、おもむろに演奏しはじめたのは、なんとソニー・ロリンズの「Doxy」。しかし、ゆっくりとしたイントロからしばらくすると、最後までずっとインプロヴィゼーション爆発。何がどうなっているのか、ギターをまるでキーボードのように高速で弾きまくるローゼンウィンケル。パッセージも和音も従来のジャズギターとは異質すぎて、わけがわからない。

周囲を見渡すと、ただ呆然として聴いている人と、圧倒されて睡眠に引きずり込まれた人とが目立っていた。わたしもはじめてナマのローゼンウィンケルのプレイに接して、少なからず驚いた。

終わってから、隣に居合わせたミネアポリス在住だというアメリカ人男性が「どうだった?」と話しかけてきた。「素晴らしかった。だけどマニアックで、ショーマンシップがない。かれひとりだけ天国でプレイしているみたいだ」と言うと、激しく同意していた。いや、もちろん素晴らしかった。

Nikon P7800

●参照
Human Feel 『Galore』


エヴァン・パーカー、イクエ・モリ、シルヴィー・クルボアジェ、マーク・フェルドマン@Roulette

2015-09-24 20:26:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

前夜に続き、エヴァン・パーカー祭(2015/9/23)。ブルックリンのRouletteに足を運んだ。The Stoneで2人の居合わせたジャズファンから、Rouletteは行きやすいところですぐ見つかるよと言われたのだが、最寄りでない駅から歩くとよくわからず、しかも途中で腹痛を覚えて冷や汗をかくことになった。到着すると何人かから声をかけられた。Rouletteは小さなホール会場で、親しみやすいつくりになっていた。

演奏前のMCによると、パーカーは、今週の月曜日(9/21)にNYで吹き込みを行い、それはIntakt Recordsから出されるそうである(メンバー不明)。なお、今週は他にJackでネッド・ローゼンバーグとのデュオ(かつての『Monkey Puzzle』の再現)があるが、そこには行くことができず残念。

Evan Parker (ts, ss)
Ikue Mori (electronics)
Sylvie Courvoisier (p)
Mark Feldman (vln)

この日の目玉はシルヴィー・クルボアジェ、マーク・フェルドマンとの共演(たしかクルボアジェとパーカーとはデュオでの録音がある)。イクエ・モリは連日の参加。

驚いたことに、パーカーのサックスとフェルドマンのヴァイオリンとは驚くほど親和性が高い。不連続の緻密な集合体たるパーカーのソロと、なめらかに連続的な音を出すフェルドマンのソロとは二重らせんのように絡み合い、はっと気が付くと、パーカーをフェルドマンとして、あるいはフェルドマンをパーカーとして聴いていた。

クルボアジェの濃淡差の大きなピアノは場の活性化のために機能した。イクエ・モリのエレクトロニクスは、星の瞬く天空を創り出すばかりでなく、ときに、流れ星を思わせる音を出したりするチャーミングなものだった。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4

●エヴァン・パーカー
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー+土取利行+ウィリアム・パーカー(超フリージャズコンサートツアー)@草月ホール(2015年)
ジョン・エスクリート『Sound, Space and Structures』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)
エヴァン・パーカー+ネッド・ローゼンバーグ『Monkey Puzzle』(1997年)
エヴァン・パーカー+吉沢元治『Two Chaps』(1996年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981-98年)
スティーヴ・レイシー+エヴァン・パーカー『Chirps』
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)