Sightsong

自縄自縛日記

穐吉敏子@Mezzrow

2015-09-25 15:51:41 | アヴァンギャルド・ジャズ

23:20ころ(2015/9/24)に55 Barを出て、近くのSmallsでJ.D.アレンの演奏を途中から観ようかと思ったところ、満員だった。23:45からの回を待つか、通りを挟んだ姉妹店Mezzrowでアキヨシ・トシコを観るかしてはどうだと言われ、吃驚した。ええっ、穐吉敏子さんが近くにいる。

早速駆けつけてみると、狭いバーは7割方が日本人。NY在住の某ピアニストの姿もみえた。

そして向こう側で、穐吉さんがピアノを弾いている。ベースとのデュオに、少しだけトランペットが加わったようだった。

穐吉敏子 (p)
Steve Whipple (b)
不明 (tp)

穐吉さんを前回聴いたのは、20年近く前だったと思う(神田TUC)。そのときは、バド・パウエルの化身に見えて驚き感激したのだった。

現在の穐吉さんは、たまに指がもたつくこともあったが、バドの香りを濃厚に残していた。バドの晩年についても話す穐吉さん。そして、「Un Poco Loco」を弾き始めると、わたしはなぜか感極まって不覚にも泣いてしまった。涙を拭っていて恥ずかしかった。たぶんバドに対する穐吉さんの想いがこちらで勝手に重なり合ったのだろうが、これは理屈ではない。

演奏後、座っておられた穐吉さんにサインをいただいた。「そんなのお安い御用ですよ」と、さらさらと書いてくれた。

Nikon P7800


ダニー・マッキャスリン@55 Bar

2015-09-25 15:27:54 | アヴァンギャルド・ジャズ

ダニー・マッキャスリンのグループを観るため、The Stoneから55 Barまで移動した(2015/9/24)。演奏がはじまる22時には、狭いバーが立ち見客で一杯になった。前日はマイク・スターンのギグがあって、悩んだのだが結局行かなかった。どれだけ混んだのだろう。

Donny McCaslin (ts)
Henry Hey (key)
Sam Minaie (b)
Mark Guiliana (ds)

グループの目玉は、スーパー・ドラマー、マーク・ジュリアナの参加である。これまでディスクを聴いていると、あまりのハイテクにズルしているのではないかという疑いもなくはなかったのだが、本当に、異常に複雑に聴こえるリズムを叩いていた。もちろん必死の表情で叩いているのだが、それに伴うオチやノリにまったく頼ることがない凄さということなのだろうか。トニー・ウィリアムスがシーンに登場してきたときの驚きは、ジュリアナと比べるとどうだったのだろう。

マッキャスリンも、もちろん必死で吹く。それもジュリアナと同様に、ノリや手癖で処理することを完全に放棄している。ただロジックとメソッドがあり、それらに奉仕する。

最新作『Fast Future』で見せたポップさも満開で、ヴォーカルがいない分を、ヘンリー・ヘイのキーボードがカバーしているように見えた。宇宙人の音楽ではなく人間の音楽だった。

Nikon P7800

●参照
ダニー・マッキャスリン『Fast Future』(2014年)
ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』(2012年)
マーク・ジュリアナ『Family First』(2015年) 


Pulverize the Sound@The Stone

2015-09-25 14:58:51 | アヴァンギャルド・ジャズ

今週はThe Stoneにてピーター・エヴァンスのレジデンシー。2日前(2015/9/22)にエヴァン・パーカーとの共演を2セット観たが、相手が相手だけに、そこで見せたピーター・エヴァンスの姿はひとつの面に過ぎないに違いない。そう思い、「Pulverize the Sound」を体感すべくまた足を運んだ(2015/9/24)。

Peter Evans (tp)
Tim Dahl (b)
Mike Pride (ds)

エヴァンスは循環呼吸奏法を含め、耳を刺すような音をひたすら吹き続けた。ティム・ダールのエレキベースは、カタルシスとエクスタシーを目指して、3人を煽った。マイク・プライドのドラムスは明日なき勢いを倒れずに持続した。何しろ、バスドラムが動かないように自分の手で押さえてバスンバスンと踏み続ける有様。

1時間の凄まじい轟音だった。「サウンドを粉々にせよ」という指令はハッタリではなかった。

客席にはクリス・ピッツィオコスも現れた。話をしていると、橋本孝之、白石民夫、吉田野乃子といったソロサックス奏者の名前が出てきた。いまのITネットワークは、そのような連携と共有をもたらす。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4

●ピーター・エヴァンス
Rocket Science変形版@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

●マイク・プライド
ヨニ・クレッツマー『Book II』(2014年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
マイク・プライド『Birthing Days』(2012年)
ジョン・イラバゴン『I Don't Hear Nothin' but the Blues』 (2009年)
アンドリュー・ディアンジェロ『Morthana with Pride』(2004年)