イングリッド・ラウブロックの新グループ「UBATUBA」を聴くために、急いでCornelia Street Cafeに向かった(2015/9/25)。何しろラブロックとティム・バーンが並んでいるだけで仰天する。なお、会場から「そのsillyな名前はなんだ」という声があがり、ラウブロックは「実のところブラジルの街の名前で」と答えていた。
Ingrid Laubrock (ts)
Tim Berne (as)
Ben Gerstein (tb)
Dan Peck (tuba)
Tom Rainey (ds)
演奏は、フロントの4人が管を鳴らさず息を吹き込むところから始まった。やがて、それぞれの持ち味を存分に活かす展開に移行していった。この曲もすべてラウブロックの手によって作られた周到なものだ。それにより、各人の特徴あるソロがパズルのように組み合わせられ、次々に提示された。
バーンのアルトは強靱にして粘っこく、もう痺れてしまう。これが聴きたかった。ラウブロックは、バーンと並んで吹くとまた特徴が明らかになってくるようで、懐が深く、周辺環境を受け入れるような深さが感じられた。
低音二人組も愉快。特にベン・ガースティンである。先日帰国された蓮見令麻さんからも、またこの日にランチを一緒に取ったジャズ評論のシスコ・ブラッドリーさんからも、非常に知識豊富かつエキセントリックなところがあると聞いていた。かれのトロンボーンは、スライドを何やら震わせたり工夫したりし続け、引き出しの多さを示してくれた。
そしてトム・レイニーのドラムスはやはり目覚まし時計の刺激剤。
ファーストセットだけではあまりにも勿体ないため、セカンドセットも興奮しながら堪能した。このグループは今後凄い作品を出していくのではないかと期待する。まずは11月にFirehouse 12からCDをリリースするという。終わった後、ラウブロックやバーンとも少し話ができて嬉しい時間だった。
ところで、横に居合わせた男がジャズの広報誌(みんな使っている月間スケジュールを掲載)を出している人で、四方山話をしていると、高木元輝だの坂田明ちかもらちだの阿部薫だのと次々と名前が出てくる。テキサスに住んでいたがNYに出てきてよかった、と言っていた。結局休憩時間はふたりとも妙に興奮してジャズの話を続けた。やはりジャズは共通言語である。
Fuji X-E2, XF60mmF2.4 and Nikon P7800
●イングリッド・ラウブロック
ヴィンセント・チャンシー+ジョシュ・シントン+イングリッド・ラウブロック@Arts for Art(2015年)
アンドリュー・ドルーリー+ラウブロック+クラウス+シーブルック@Arts for Art(2015年)
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(2014年)
アンドリュー・ドルーリー『Content Provider』(2014年)
トム・レイニー『Obbligato』(2013年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』(2012年)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(2007、2012年)
●ティム・バーン
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)