Sightsong

自縄自縛日記

マイク・ディルーボ@Smalls

2015-09-26 21:01:27 | アヴァンギャルド・ジャズ

Cornelia Street Cafeを出て23時半に近くのSmallsに行くと(2015/9/25)、マイク・ディルーボのギグは満席で入れず、セカンドセットが始まるまでの15分間外で待った。その間にも行列ができてきて、もう何というべきか。

Ugonna Okegwo (b)
Mike DiRubbo (as)
Josh Evans (tp)
Brian Charette (p)
Jonathan Barber (ds)

このギグでのドラムスは、事前に公表されていたルディ・ロイストンではなく、とても若そうなジョナサン・バーバーになった(JBと呼ばれていた)。この人がなかなか溌剌としたドラムスを叩いていた。

主役のマイク・ディルーボは、ジャッキー・マクリーンに師事しただけのことはあって、直情的な気持ちのよいアルトを吹いた。マイクもまったく使わず生音がやたらとでかい。そして、Smalls常連のジョシュ・エヴァンスは、相変わらず、メタリックな音をギンギンと熱く熱く響かせた。やはり、ハード・バップ万歳なのだ。

1時頃に終わって、「次はグレイトなアンソニー・ウォンジーだ、誰も外に出るなよ」というアナウンスがあったが(Smallsならではか)、もう眠くて、ディルーボ、エヴァンスのふたりと少し話をして帰った。

Nikon P7800

●参照
マイク・ディルーボ『Threshold』(2013年)
ジョシュ・エヴァンス@Smalls (2015年)
フランク・レイシー@Smalls(2014年)(ジョシュ・エヴァンス参加)
フランク・レイシー『Live at Smalls』(2012年)(ジョシュ・エヴァンス参加)
ラルフ・ピーターソン『Outer Reaches』(2010年)(ジョシュ・エヴァンス参加)


イングリッド・ラウブロック UBATUBA@Cornelia Street Cafe

2015-09-26 20:21:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

イングリッド・ラウブロックの新グループ「UBATUBA」を聴くために、急いでCornelia Street Cafeに向かった(2015/9/25)。何しろラブロックとティム・バーンが並んでいるだけで仰天する。なお、会場から「そのsillyな名前はなんだ」という声があがり、ラウブロックは「実のところブラジルの街の名前で」と答えていた。

Ingrid Laubrock (ts)
Tim Berne (as)
Ben Gerstein (tb)
Dan Peck (tuba)
Tom Rainey (ds)

演奏は、フロントの4人が管を鳴らさず息を吹き込むところから始まった。やがて、それぞれの持ち味を存分に活かす展開に移行していった。この曲もすべてラウブロックの手によって作られた周到なものだ。それにより、各人の特徴あるソロがパズルのように組み合わせられ、次々に提示された。

バーンのアルトは強靱にして粘っこく、もう痺れてしまう。これが聴きたかった。ラウブロックは、バーンと並んで吹くとまた特徴が明らかになってくるようで、懐が深く、周辺環境を受け入れるような深さが感じられた。

低音二人組も愉快。特にベン・ガースティンである。先日帰国された蓮見令麻さんからも、またこの日にランチを一緒に取ったジャズ評論のシスコ・ブラッドリーさんからも、非常に知識豊富かつエキセントリックなところがあると聞いていた。かれのトロンボーンは、スライドを何やら震わせたり工夫したりし続け、引き出しの多さを示してくれた。

そしてトム・レイニーのドラムスはやはり目覚まし時計の刺激剤。

ファーストセットだけではあまりにも勿体ないため、セカンドセットも興奮しながら堪能した。このグループは今後凄い作品を出していくのではないかと期待する。まずは11月にFirehouse 12からCDをリリースするという。終わった後、ラウブロックやバーンとも少し話ができて嬉しい時間だった。

ところで、横に居合わせた男がジャズの広報誌(みんな使っている月間スケジュールを掲載)を出している人で、四方山話をしていると、高木元輝だの坂田明ちかもらちだの阿部薫だのと次々と名前が出てくる。テキサスに住んでいたがNYに出てきてよかった、と言っていた。結局休憩時間はふたりとも妙に興奮してジャズの話を続けた。やはりジャズは共通言語である。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4 and Nikon P7800

●イングリッド・ラウブロック
ヴィンセント・チャンシー+ジョシュ・シントン+イングリッド・ラウブロック@Arts for Art(2015年)
アンドリュー・ドルーリー+ラウブロック+クラウス+シーブルック@Arts for Art(2015年)
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(2014年)
アンドリュー・ドルーリー『Content Provider』(2014年)
トム・レイニー『Obbligato』(2013年)
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』(2012年)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(2007、2012年)

●ティム・バーン
ティム・バーン『You've Been Watching Me』(2014年)
ティム・バーン『Shadow Man』(2013年)


エドワード・サイモン+ミゲル・ゼノンSUR@The Jazz Gallery

2015-09-26 19:55:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

NYのThe Jazz Galleryは割と目立たない雑居ビルの5Fにある。毎日ではないが、スティーヴ・コールマンが定期的にギグを行ってきたところでもあり、注目していた。今後の予定を見ても、ジョン・エスクリート、マーク・ジュリアナ、ピーター・エヴァンス、アンドリュー・ディアンジェロ、ジャスティン・ブラウン、そして11月にはヘンリー・スレッギルとヴィジェイ・アイヤーが組むというすぐれたプログラム。

この日(2015/9/25)は、エドワード・サイモンとミゲル・ゼノンとの新しい双頭バンド「SUR」。

Edward Simon (p)
Miguel Zenón (as)
Felipe Fournier (perc, vib)
Jorge Roeder (b)

ゼノンの『Identities are Changeable』がなかなかの意欲作だったこともあって期待していたのだが、一方では控えめなアルトだという印象もあって、このパフォーマンスは後者の側面ばかりだった。ゼノンのアルトは、フレーズはM-BASE的で不穏にスタイリッシュなのだが、押し出しがまったく強くなくて、ひたすら流れるような奇麗なソロ。

きっとサイモンも同じキャラに違いない。顔の表情もサウンドの表情もほとんど変えず、やはり流麗なソロ。

異物と衝突しなければ、この音楽から得られる刺激は希薄なものに違いない。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4

●参照
エドワード・サイモン『Live in New York at Jazz Standard』
ミゲル・ゼノン『Identities are Changeable』