Sightsong

自縄自縛日記

ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』

2015-09-16 07:19:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』(Greenleaf Music、2012年)を聴く。

Donny McCaslin (ts)
Jason Lindner (el-p, p, syn)
Tim Lefebvre (b)
Mark Guiliana (ds)
David Binney (vo, syn)

ときに肉声のくせに電気サウンドのような音を出すマッキャスリンのテナーは面白い。マーク・ジュリアナのドラムスも、何もドラムマシーンや打ち込みの偽装ではない。

マシーンやエレクトロニクスを使うのではなく融合しているのである。言ってみれば、かつて夢みた理想的な未来社会。だがそれはシニカルなディストピアの暗示でも、底抜けに楽天的なユートピアの信仰でもない。もっとも、『銀河鉄道999』において鉄郎が機械伯爵を葬ったような、システムの崩壊も見せてほしいところではあるけれども。

●参照
ダニー・マッキャスリン『Fast Future』(2014年)
マーク・ジュリアナ『Family First』(2015年) 


蓮見令麻@荻窪ベルベットサン

2015-09-16 06:21:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

帰国中の蓮見令麻さんの演奏を観るために、荻窪ベルベットサンに足を運んだ(2015/9/14)。


Fuji X-E2、Leica Elmarit 90mmF2.8

蓮見令麻 (p, vo)
須川崇志 (b)
本田珠也 (ds)
Guest: Todd Neufeld (g)

不思議なピアノである。菊地雅章や、ポール・ブレイを思い出す瞬間もあった。アネット・ピーコックのようだなと思っていたら、たしかにアネットの歌だった。もちろん蓮見さんのピアノはどれとも違っていた。

まるで、霧が立ち込めて先も視えないような古い街において、踊るように手を伸ばすたびに、掌にさまざまな色の結晶が入っているような。聴いていると、脳の特定箇所が活性化されて止まない感覚がある。霧の街でも眼は開く。

ちょうど出されたばかりのアナログ盤『UTAZATA』を入手できて、これから聴くのが楽しみである。

●参照
鈴木勲セッション@新宿ピットイン(2014年)(本田珠也参加)
本田珠也SESSION@新宿ピットイン(2014年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2012年)(本田珠也参加)
石田幹雄トリオ『ターキッシュ・マンボ』(2008年)(本田珠也参加)