Sightsong

自縄自縛日記

ジョシュ・エヴァンス@Smalls

2015-09-23 23:24:25 | アヴァンギャルド・ジャズ

The Stoneでピーター・エヴァンス/エヴァン・パーカーの2セットが終わった後、Smallsに足を運んだ(2015/9/22)。というのも、エメット・コーエンがピアノを弾いているというので、覗いてみようと思ったのだ。着いてみると、ジョシュ・エヴァンスのグループが演奏していた。勘違いしていた(笑)。

しかし、ジョシュ・エヴァンスもCDを出したばかりで興味があったし、よしとする。昨年(2014年)、フランク・レイシーのグループをこのSmallsで観たとき、巧いトランぺッターだなと印象に残っていた。

Josh Evans (tp)
Abraham Burton (ts)
Lummie Spann (as)
David Bryant (p)
Rashaan Carter (b)
Eric McPherson (ds)

どこかで、ジョシュ・エヴァンスのトランペットはなめらかでないと否定的に書いている文章を読んだ記憶がある。確かにエッジがギザギザで、不協和音を含み持つ金属の音である。だが、この現代の熱いハードバップを聴いていると、それが持ち味なのだと思えてきた。

そしてテナーのエイブラハム・バートンである。この人も、変にマクリーン直系のように位置づけられていたことがあって、その割にはフレーズが単調でつまらないというのがわたしの印象だった。しかし、ぶち切れんばかりに息をテナーに吹きいれる姿は、つまらぬ偏見を払拭してくれるのには十分だった。とにかく熱く、エネルギーをすべて真正面にぶつける人なのである。

Nikon P7800

●参照
フランク・レイシー@Smalls(2014年)(ジョシュ・エヴァンス参加)
マイク・ディルーボ『Threshold』(2013年)(ジョシュ・エヴァンス参加)
フランク・レイシー『Live at Smalls』(2012年)(ジョシュ・エヴァンス参加)
ラルフ・ピーターソン『Outer Reaches』(2010年)(ジョシュ・エヴァンス参加)
ルイ・ヘイズ@COTTON CLUB(2015年)(エイブラハム・バートン参加)
ルイ・ヘイズ『Return of the Jazz Communicators』(2013年)(エイブラハム・バートン参加)


Rocket Science変形版@The Stone

2015-09-23 23:00:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

ファーストセット(エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone)に引き続き、セカンドセットもThe Stoneは満員(2015/9/22)。Downtown Music Galleryのブルース氏に、お前も好きだなと言わんばかりに肩を揉まれて吃驚した。

今度は「Rocket Science」である。・・・の、はずだったが、依然としてピアノのクレイグ・テイボーンが現れない。

エヴァンス「ミステリアスなクレイグ・テイボーンはまだ来ない。いまかれのサイトをチェックしたら、このギグのことが書いてない(爆笑)。まあ、ロケット・サイエンスをはじめよう」
パーカー「それはロケット・サイエンスではない」
エヴァンス「まったくだ」

そんなわけで、テイボーンの代役として、ファースト・セットに引き続き、イクエ・モリが参加した。結果的に、ロケット・サイエンスとは異なる様相を呈したものとなり、非常に刺激された(テイボーンのピアノも観たかったのだが)。

Peter Evans (tp)
Evan Parker (ts)
Ikue Mori, Sam Pluta (electronics)

こんどはエヴァン・パーカーはテナーサックスに専念した。かれの奥深い循環呼吸奏法を聴いていると、巨大な怪竜がゆっくりと空を飛び、のたうつ姿が想像された。ピーター・エヴァンスは、やはり、甲高いトランペットの破裂音という火花によって、怪竜が支配せんとする時空間に、厭くことなく裂け目を入れ続けた。

そしてふたりのエレクトロニクスが、直前の音のサンプリングによって時間を引き戻し、掻き混ぜ、眩いほどの天球を創り出した。

濃密な1時間だった。演奏後、エヴァン・パーカーに、出たばかりの『Two Chaps』にサインをいただいた。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4

●ピーター・エヴァンス
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

●エヴァン・パーカー
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
エヴァン・パーカー+土取利行+ウィリアム・パーカー(超フリージャズコンサートツアー)@草月ホール(2015年)
ジョン・エスクリート『Sound, Space and Structures』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)
エヴァン・パーカー+ネッド・ローゼンバーグ『Monkey Puzzle』(1997年)
エヴァン・パーカー+吉沢元治『Two Chaps』(1996年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981-98年)
スティーヴ・レイシー+エヴァン・パーカー『Chirps』
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)

●サム・プルータ
エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone(2015年)
スティーヴ・リーマン@Shapeshifter Lab(2015年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年) 


エヴァン・パーカー US Electro-Acoustic Ensemble@The Stone

2015-09-23 22:27:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

半年ぶりのニューヨーク。パスポートコントロールが混んでいて、飛行機を降りてから荷物を受け取るまでに45分を要した。タクシーでホテルにチェックインし、ゆっくりする間もなく、地下鉄でThe Stoneに向かう。

ちょうど開演1時間前に着くと、1番目だった。次に来たデザイナーだという男とジャズの四方山話(共通言語)をしているうちに、30分もすると長蛇の列。エヴァン・パーカーがレコーディングを兼ねてNYに来ており、一連のギグが大注目なのだった。

なぜかピアノのクレイグ・テイボーンが現れないなか、演奏が始まった。

Evan Parker (ss)
George Lewis (electronics, tb)
Ikue Mori, Sam Pluta (electronics)
Ned Rothenberg (bcl, cl, shakuhachi)
Peter Evans (tp)

2メートル先に、主役のピーター・エヴァンス、パーカー、ネッド・ローゼンバーグの3人が並ぶ姿は壮観である。

パーカーはソプラノに徹し時空間をゆっくりと己の周りにまとわりつかせた。ローゼンバーグはおもにバスクラでその時空間を支えた。そしてエヴァンスは甲高く微分的な音で、時空間に裂け目を作り続けた。

さらに、サム・プルータとイクエ・モリとが創り出す、ダイヴァーシファイする宇宙。ジョージ・ルイスのトロンボーンが、逆に、飛散した者たちをこの宇宙に引き戻そうとする音に聴こえた。

そういえば、ピーター・エヴァンスと写真撮影の許可を求めて話したときに、「Mostly Other People Do the Killing」から脱退したのかどうか訊けばよかった。忘れていた。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4 and Nikon P7800

●ピーター・エヴァンス
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

●エヴァン・パーカー
エヴァン・パーカー+土取利行+ウィリアム・パーカー(超フリージャズコンサートツアー)@草月ホール(2015年)
ジョン・エスクリート『Sound, Space and Structures』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)
エヴァン・パーカー+ネッド・ローゼンバーグ『Monkey Puzzle』(1997年)
エヴァン・パーカー+吉沢元治『Two Chaps』(1996年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981-98年)
スティーヴ・レイシー+エヴァン・パーカー『Chirps』
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)

●ネッド・ローゼンバーグ 
ネッド・ローゼンバーグ@神保町視聴室(2014年)
ネッド・ローゼンバーグの音って無機質だよな(という、昔の感想)

●サム・プルータ
スティーヴ・リーマン@Shapeshifter Lab(2015年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)

●ジョージ・ルイス
ギル・エヴァンスの映像『Hamburg October 26, 1986』
『A POWER STRONGER THAN ITSELF』を読む(1)
ムハール・リチャード・エイブラムスの最近の作品