エドマール・カスタネーダ『Live at the Jazz Standard』(Arpa y Voz Records、2015年)を聴く。
Edmar Castaneda (harp)
Gregoire Maret (harmonica)
Marshall Gilkes (tb)
Itai Kriss (fl)
Shlomi Cohen (ss)
Pablo Vergara (p)
Rodrigo Villalon (ds)
David Silliman (perc)
special guests
Andrea Tierra (vo)
Tamer Pinarbasi (kanun)
Sergio Krakowski (pandero)
カスタネーダのハープは文字通りのウルトラテクニックであり、ギターのパット・マルティーノ、シタールのラヴィ・シャンカールに伍するものと言っても過言ではない。実際に、この4月に予備知識なくNYのSmallsで観たライヴで仰天、口を開けて凝視してしまった。その際は、ハコも、ドラムスのアリ・ホーニグとのデュオというフォーマットも「ジャズの土俵」であったわけだが、それでも、かれはラテンもジャズも迷うことなく繰り出し、聴衆を夢中にさせた。
そんなわけで、待望の新譜。ラテン感満載である。グレゴリー・マレットのハーモニカも味わい深いソロを聴かせる。もちろんそれだけでなく、皆が、俺が俺が、私が私がと次々にステージ上で愉快なパフォーマンス。ソロを渡すときには、ときにぞくりとする「興奮の幕間」がある。実に豊かな、テクとエモーションの泉である。
この演奏も、NYのJazz Standardという「ジャズの土俵」においてなのだが、解説で東琢磨さんが書いているように、むしろラテンのほうがウケる状況もあり、そのことを云々することはあまり意味がないかもしれない。東さんは、ラテンアメリカの音楽を、国ごとに分類することはできず、少なくとも南米北部の「汎カリブ」音楽としてとらえるべきものだと説く。この豊饒さと連帯感はそれに起因するものでもあるのかな。
●参照
アリ・ホーニグ@Smalls(カスタネーダ参加)