ラシッド・アリ+アーサー・レイムス『The Dynamic Duo / Remembering Trane and Bird』(Ayler Records、1981年)を聴く。
Rashid Ali (ds, vo)
Arthur Rhames (ts, p)
アーサー・レイムスといえば、32歳の若さで夭折した「幻のテナー奏者」であり、この2枚組CDを中古棚で見つけるまでは、ただ1枚の録音『Live from Soundscape』(DIW、1981年)しか残していないのかと思っていた。そのDIW盤は、同じシリーズのフランク・ロウの録音がそうであるように音がこもっていてよい録音ではない。
そんなわけで大した印象も残っていなかったのだが、この同じ年のラシッド・アリとのデュオは、まったく違う。音も臨場感のあるものだし、何しろ、「Giant Steps」(これはDIW盤でも)や、「至上の愛」の3曲などをためらうことなく吹きまくっていて、アリとの間で煽りあっているのだ。「I Want To Talk About You」やチャーリー・パーカー・メドレーでは深くじっくりと塩辛い音で吹いていて、これもまた良い。
アリも愉しかったのか、明らかにはしゃいでいる。なぜかこのグループ名「Dynamic Duo」を何度もハイになって叫び、「至上の愛」に突入しても深刻さのかけらもなく「A Love Supreme, a love supreme...」と唄っている。それにアリのトレードマークのような昇竜ドラムスを聴くと嬉しくなる。
思い出せばアリはデュオの名手でもあって、コルトレーンとの『Interstellar Space』、ロウとの『Duo Exchange』は両方とも素晴らしい(ラシッド・アリとテナーサックスとのデュオ)。それらが60年代と70年代の名盤だとすれば、これは80年代の名盤。
Arthur Rhames (ts)
Jeff Esposito (p)
Jeff Siegel (ds)
●ラシッド・アリ
ラシッド・アリ+ペーター・コヴァルト+アシフ・ツアハー『Deals, Ideas & Ideals』(2000年)
プリマ・マテリア『Peace on Earth』、ルイ・ベロジナス『Tiresias』(1994、2008年)
By Any Means『Live at Crescendo』、チャールズ・ゲイル『Kingdom Come』(1994、2007年)
ジェフ・パルマー『Island Universe』(1994年)
ペーター・ブロッツマン+フレッド・ホプキンス+ラシッド・アリ『Songlines』(1991年)
アリス・コルトレーン『Universal Consciousness』、『Lord of Lords』(1971、1972年)
アリス・コルトレーン『Huntington Ashram Monastery』、『World Galaxy』(1969、1972年)
ラシッド・アリとテナーサックスとのデュオ(1967、1972年)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』(1965年、1995年)