メテ・ラスムセン+ポール・フラハーティ+クリス・コルサーノ『Star-Spangled Voltage』(Hot Cars Warp Records、2014年)を聴く。先日メテ、クリスのデュオで来日演奏したときに持ってきていたものを買った。アナログ盤のみである。
Mette Rasmussen (as)
Paul Flaherty (as, ss)
Chris Corsano (ds)
最初から最後までフルスロットルの演奏。しかもヴァイナルならではの音である。これは血が沸騰する。
メテさんのアルトは冗談抜きに強烈で、当分の間は忘れられそうにない。特に阿佐ヶ谷天での演奏において板ばねが入ったようにびしびしと瞬発力と強さをもって吹きまくり、身体を上下左右に振らせるばかりか、ついに部屋の端から端までアルトを吹きながらかつかつと往復したときの音。ここにはその音が見事に収められている。わたしが目撃できなかった日だが、メテさんと共演した竹下勇馬さんに訊くと、楽器が身体と一体化しているようだったと言った。
その一方で、スーパーデラックスでの演奏は坂田明さんとの共演であり、活力どうしのためか、メテさんの個性を十分には聴くことができなかったような印象がある。本盤もサックスのポール・フラハーティとの共演ゆえそれを危惧しながら聴いたのだが、個性がまるで異なるためか、同じことは起きていなかった。フラハーティは濁った音でサックスの周囲1メートルにエクトプラズムを作り続け、ふたりの音はまるで干渉しない。そしてメテさんは最後までアウラを発散している。
クリス・コルサーノも関節の可動域が高速回転仕様、しかも力強くてきわきわに削られ尖っていて、この人にしか出せないパルスを放っている。
●メテ・ラスムセン
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)
メテ・ラスムセン@妙善寺(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy(JazzTokyo)(2017年)
ドレ・ホチェヴァー『Transcendental Within the Sphere of Indivisible Remainder』(JazzTokyo)(2016年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(JazzTokyo)(2013年)
『Trio Riot』(2012年)
●クリス・コルサーノ
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy(JazzTokyo)(2017年)
クリス・コルサーノ、石橋英子+ダーリン・グレイ@Lady Jane(2015年)
コルサーノ+クルボアジェ+ウーリー『Salt Talk』(2015年)
アイスピック『Amaranth』(2014年)
エヴァン・パーカー+ジョン・エドワーズ+クリス・コルサーノ『The Hurrah』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(2013年)
ネイト・ウーリー『Seven Storey Mountain III and IV』(2011、13年)
ネイト・ウーリー+ウーゴ・アントゥネス+ジョルジュ・ケイジョ+マリオ・コスタ+クリス・コルサーノ『Purple Patio』(2012年)
ロドリゴ・アマド『This Is Our Language』(2012年)