ジョアナ・ケイロス『Diarios de Vento』(TerraUna、2016年)を聴く。
Joana Queiroz (cl, bcl, etc.)
ポルトガル語はまったく解せないのだが「風の日記」とでもいうタイトルだろうか。その通り、虫の声、鳥の声、子どもの声がざわざわと聴こえる中で、ジョアナ・ケイロスが多重録音でクラやバスクラ、さらには声やさまざまなものを叩く音を重ねている。何という気持のいいサウンドか。
木管楽器は、里山のような自然環境と溶け合うものかもしれない。ミシェル・ドネダも先日竹林のなかで忘れがたい演奏をしてくれたし、ヨアヒム・バーデンホルストもなにやら自然の中で録音をしていたようだ。面白いことは、本盤では、ケイロスは必ずしも自然の中に身を置いたというサウンドではなく、室内で録られた音を重ね合わせたりしている。再現ではなく、新たなイメージの創出ということだ。
ジャケットはひとつひとつ異なる手作りである(神楽坂の大洋レコードで、何枚かある中でどれにしようか悩んでしまった)。音楽もパッケージもすべて手作り、こういう活動は大好きなのだ。
ケイロスは、エルメート・パスコアルやイチベレ・ツヴァルギのグループでも演奏した人であるという。納得である。ライヴとなればどんな演奏をするのだろう。