Sightsong

自縄自縛日記

ジョアナ・ケイロス『Diarios de Vento』

2017-08-02 23:26:36 | 中南米

ジョアナ・ケイロス『Diarios de Vento』(TerraUna、2016年)を聴く。

Joana Queiroz (cl, bcl, etc.)

ポルトガル語はまったく解せないのだが「風の日記」とでもいうタイトルだろうか。その通り、虫の声、鳥の声、子どもの声がざわざわと聴こえる中で、ジョアナ・ケイロスが多重録音でクラやバスクラ、さらには声やさまざまなものを叩く音を重ねている。何という気持のいいサウンドか。

木管楽器は、里山のような自然環境と溶け合うものかもしれない。ミシェル・ドネダも先日竹林のなかで忘れがたい演奏をしてくれたし、ヨアヒム・バーデンホルストもなにやら自然の中で録音をしていたようだ。面白いことは、本盤では、ケイロスは必ずしも自然の中に身を置いたというサウンドではなく、室内で録られた音を重ね合わせたりしている。再現ではなく、新たなイメージの創出ということだ。

ジャケットはひとつひとつ異なる手作りである(神楽坂の大洋レコードで、何枚かある中でどれにしようか悩んでしまった)。音楽もパッケージもすべて手作り、こういう活動は大好きなのだ。

ケイロスは、エルメート・パスコアルやイチベレ・ツヴァルギのグループでも演奏した人であるという。納得である。ライヴとなればどんな演奏をするのだろう。


ジム・スナイデロ『Main Street』

2017-08-02 21:29:00 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジム・スナイデロ『Main Street』(Savant、2014年)を聴く。

Jim Snidero (as)
Fabian Almazan (p)
Linda Oh (b)
Rudy Royston (ds)

爽快痛快を形にしたような、どジャズ。ファビアン・アルマザンは最近異様にもてはやされていてアレなのだが、複雑なリズムと旋律を組み合わせていてやはり鮮やか。リンダ・オーは堅実。ルディ・ロイストンは鉈でバシンバシンと斬るような重さがある。

そしてなによりジム・スナイデロである。ここまで気持ちよく鳴らし切るアルトは、聴いていて気持ちがいい。その意味で、タイプは違うが、アーニー・ヘンリーを思い出してしまった。

●ファビアン・アルマザン
アダム・ラーション@Smalls
(2015年)
テレンス・ブランチャード『Magnetic』(2013年)

●リンダ・オー
ジェリ・アレン、テリ・リン・キャリントン、イングリッド・ジェンセン、カーメン・ランディ@The Stone(2014年) 
パスカル・ルブーフ『Pascal's Triangle』(2013年)

●ルディ・ロイストン
アダム・ラーション@Smalls(2015年)
J.D.アレン『Graffiti』(2015年)
ジョン・イラバゴン『Behind the Sky』(2014年)
ネイト・ウーリー『Argonautica』(2014年)
ルディ・ロイストン『303』(2013年)
マイク・ディルーボ『Threshold』(2013年)


マイク・ルドン『That Feelin'』

2017-08-02 08:07:55 | アヴァンギャルド・ジャズ

マイク・ルドン『That Feelin'』(Savant、2016年)を聴く。

Mike Ledonne (org)
Eric Alexander (ts)
Vincent Herring (as)
Peter Bernstein (g)
Joe Farnsworth (ds)

NYのSMOKEあたりに集まる面々による「どジャズ」である。別に過激でも前衛的でもないし、名手ばかりだけど飛び抜けた何かを披露するわけでもない。要するに「いい感じ」なのであり、だから何とか言われそうだが。

エリック・アレキサンダーは90年代にパット・マルティーノとの共演を観て以来聴いていないのだが、推進力がなくなってすっかり伝統芸能おじさんになってしまったような感がある。ひとりだけ妙なエコーをかけているが何のつもりだろう。

ヴィンセント・ハーリングも20年くらい前に新宿ピットインで観たきりだ(ドナルド・ハリソン、ボブ・バーグと並んで吹いた)。本盤での塩っ辛いアルトのブルースを聴くとやはり良い。今年の来日も観にいけばよかったな。

アレキサンダー、ハーリング、それにピーター・バーンスタインのソロの合間に、マイク・ルドンがスピーディーで軽いオルガンを弾く。痺れはしないが悪くない。