Sightsong

自縄自縛日記

『トリオ深海ノ窓 Demo CD-R』、『Iwamizawa Quartet』

2017-08-05 10:41:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

『トリオ深海ノ窓 Demo CD-R』(2017年)を聴く。吉田野乃子さんのライヴでカネコさんが買ってきてくださった。(ありがとうございます。)

吉田野乃子 (sax)
富樫範子 (p)
戸谷肇 (b)

まずは、野乃子さんが『Lotus』よりもさらに抒情的になっているように聴こえてちょっと驚く。ヴィブラートがさらにその効果を高めているようである。それでいて過激さも日常生活という同じ土俵の上に共存しており、これが魅力なのかな。

あらためて、先日の東京でのライヴ「乱気流女子」のときに買った10年前の音源『Iwamizawa Quartet』(2007年)と聴き比べてみると、違いは明らかだ。彼女の渡米直後に吹き込まれた演奏であり、同じく抒情的なテイストがありながらもそれはストレートで、また、NYという非日常と日常の狭間にあるような気分も封じ込められているような気がする。

従って、明らかに一周まわって抒情に戻ってきて、その音が深みを増しているわけである。「帰郷後、メロディーへの希求が強まっている」とするJOEさんのレビューにも共感。

吉田野乃子 (as)
高島諭 (p)
杉本昌也 (b)
佐藤俊彦 (ds)
鈴木友美 (cello) (track 5)

●吉田野乃子
乱気流女子@喫茶茶会記(2017年)
吉田野乃子『Demo CD-R』(2016年)
吉田野乃子『Lotus』(2015年)
ペットボトル人間の2枚(2010、2012年)


フェローン・アクラフ@Dolphy

2017-08-05 08:44:31 | アヴァンギャルド・ジャズ

半ドン。川崎の丸大ホールで遅い昼食を取って、関内でCDを物色し、ジャズ喫茶のちぐさで一休みし、Dolphyへ。遠いこともありはじめてだが、実はエアジンとそんなに変わりはしない。それにしてもこの界隈は猥雑な感じでとても良い。遠くなければ。

Pheeroan akLaff (ds)

フェローン・アクラフのプレイを観るのは、2004年にアクラフ自身のグループの演奏を観て以来である。観客は十人強か。ヘンリー・スレッギルやアンソニー・ブラクストンと対等に共演してきた真に偉大なドラマーであり、もっと注目を集めなければならないのに。

特定のリズムを呟きながらステージに出てくるアクラフ。足には鈴を付け、手にもった皿の上には紐に結わえたふたつのベル。観客3人ほどに持たせ鳴らさせた。わたしも鈴を振って鳴らした。

そのリズムを保ったまま座り、手で叩きはじめた。次第に音は大きくなってゆき、そしてアクラフはスティックを持った。そこからの2セットとアンコールの演奏は、やはり迫力があった。パルスの音圧は半端なく強く、いきなり鼓膜が刺激される。UFOのように配したシンバルからの音は力強く、複雑で高速、ファンタスティック。そんなポリリズムの中にも、ずどど、ずどどど、という、これまで聴いてきたアクラフ独自のグルーヴがあって、幸せになるのだった。

アクラフのステージは、MCも含め愉快なエンターテインメントでもあり、プレイの途中では「Salt Peanuts」のパターンを多発して笑わせてくれもした。

せっかくなので、初リーダー作『House of Spirit: Mirth』にサインをいただいた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●フェローン・アクラフ
ワダダ・レオ・スミス『Spiritual Dimensions』(2009年)
フェローン・アクラフ、Pentax 43mmF1.9(2004年)
スティーヴ・リーマン『Interface』(2003年)
トム・ピアソン『Left/』(2000年)
"カラパルーシャ"・モーリス・マッキンタイアー『Dream of ----』(1998年)
アンソニー・ブラクストンはピアノを弾いていた(1995年)
レジー・ワークマン『Summit Conference』、『Cerebral Caverns』(1993, 95年)
ヘンリー・スレッギル(2)
ヘンリー・スレッギル(1)