祖師ヶ谷大蔵のカフェムリウイにて、「窓 vol.2」というダンスとインプロの企画。
荒悠平 (dance)
石原雄治 (ds)
平多理恵子 (dance)
徳永将豪 (as)
荒悠平のダンスは肉体の鍛錬そのものと直結しているように見える。一方の平多理恵子は、鳥の羽ばたきがさまざまな向きを持った円環となるかのように、大きな動きを見せた。ここで徳永将豪のアルトが入ってくる。ロングトーンとうなり、それが発せられてしまうことへの恐怖が内包されている。かれはしゃがみ、うずくまり、それによる物理的な効果もあろうか、うなりは複雑なものに変化していった。音は暗闇の中に溶けてゆく。
セカンドセットは再び荒さんから。かれは床に座り込んでギターを弾きながら奇妙な歌を唄うのだが、その姿は凶暴な道化でもあった。石原雄治のドラムスがリズムを取るために入ってくる。それは程なくしてブラッシュワークと徳永さんの息遣いとの重なりにシフトした。徳永さんのアルトは、音が音の道を通らず、亡霊のように別の場所で響いた。石原さんは鉄の棒を使い固い音を繰り出す。
ふたりのダンサーは対照的な動きをみせる。荒さんは痙攣し、ドラムスの音にシンクロする。また平多さんは一方で徳永さんの発する響きをまるでフォルムにしたかのように、より静的な構造をつくりあげてゆく。ここに、音とダンスとがゆるく結合したふたつの相ができた。とはいえ、その相は互いに介入を続ける。徳永・平多相にある平多さんは、石原・荒相にあるバスドラムに触れてしまったことをきっかけに、ドラムスとの結合も企図した。
緊張感や個々の役割分担から生まれるものとは違う形で、その場での探索があり、当然、音や動きが変わってゆく面白さがあった。
●徳永将豪
徳永将豪『Bwoouunn: Fleeting Excitement』(2016、17年)
徳永将豪+中村ゆい+浦裕幸@Ftarri(2017年)