日々のつれづれ(5代目)

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【本】菊池俊朗著 「山の社会学」(文藝春秋新書)

2011-05-29 09:32:57 | 本・映画・展覧会
 毎年「今年は山(野辺)歩きをしよう」と思うのにできていない。でも何となく関心は持ち続けているんだよね…早く「中高年登山客」の仲間入りをしたいものです(笑)。

 本書の立ち位置は微妙。山登りの楽しさを伝えるのでなければ最近の山歩きブームに警鐘を鳴らす趣旨でもない。自然保護や景観破壊について声高に告発し訴える書でもない。

 目次を追ってみる。「山小屋について」「百名山登山をめぐって」「登山者層について」…本書が刊行されたのは10年前だが、現在もなお色々と議論されるテーマばかり。正解はないかもしれないがトレンドはある。本書は「こうすべくである」という主義主張の書ではないが、この時点で書かれているトレンドは概ね現在も続き、その意味でさほど古さは感じない。

 最終章「もう一つの登山の楽しみ」だけが本書の中で異質、ちょっと変わった山歩きガイド的性格を持っている。ピークではなくその過程からの眺望、登山道の傍らにある種々の原生林、岩肌などに目を向け紹介している。百名山に限らずピークハンターとなりがちな登山者への穏やかな警告とも読み取れる。

 山に入ってしち面倒くさいことを考えながら歩くのは楽しくないかもしれない。だが、本書に書いてあるほんの一部のことでも思い出せば、「不届きな登山客」とのレッテルを貼られる可能性は少なく、自然の懐で遊ばせて貰うという謙虚な気持ちを持てるのではなかろうか。

 2011年5月27日 通勤電車車中にて読了
コメント
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