「ベルリン飛行指令」に続く佐々木譲・第二次世界大戦三部作の第二作。物語として「ベルリン」の続編ではないが、描かれた時代はその数年後、登場人物も数人は再登場し繋がりを見せる。
前作の舞台はアジアからヨーロッパへ連なる世界だったが、本作の舞台はアメリカと日本、それも東京周辺と北方領土と(間に多少の移動はあるが)断片的。メインは択捉島。
前作には零戦を空輸するという冒険小説的なワクワク感があったが、本作はテイストを異にしており様々な土地でのエピソードで紹介された人物たちが織り成して一つの物語の結末に至る、練り上げられたストーリーとなっている。主人公以下、複雑な出自や経歴をもつ人間が多いのも特徴。混沌とした時代の中でもひときわ異質な者たちの物語とも言え、奇譚と呼べるかもしれない。
連作物の場合、二作目は期待はずれと言われることが多い。本作の書評でも「初作ほどではない」というものがあった。だが時代や背景を共通に持ちつつ、全く異なる物語に仕上がった本作が前作に劣っているとは思われない。ぜひ前作から続けてどうぞ。
2014年9月1日 通勤電車にて読了
前作の舞台はアジアからヨーロッパへ連なる世界だったが、本作の舞台はアメリカと日本、それも東京周辺と北方領土と(間に多少の移動はあるが)断片的。メインは択捉島。
前作には零戦を空輸するという冒険小説的なワクワク感があったが、本作はテイストを異にしており様々な土地でのエピソードで紹介された人物たちが織り成して一つの物語の結末に至る、練り上げられたストーリーとなっている。主人公以下、複雑な出自や経歴をもつ人間が多いのも特徴。混沌とした時代の中でもひときわ異質な者たちの物語とも言え、奇譚と呼べるかもしれない。
連作物の場合、二作目は期待はずれと言われることが多い。本作の書評でも「初作ほどではない」というものがあった。だが時代や背景を共通に持ちつつ、全く異なる物語に仕上がった本作が前作に劣っているとは思われない。ぜひ前作から続けてどうぞ。
2014年9月1日 通勤電車にて読了