多摩川に鮎が戻ってきて久しいはずだ。今年は推定463万尾だそうだ(ソース)。遡上の時期になると新聞のローカル面に川面を跳ねる鮎の写真が出たりする。その多摩川が汚れていた時代、規制が始まる直前のワースト期に撮られた写真を敢えて今の時代に展示する。
会場にぐるりと掛けられたモノクロ写真のパネルは3セクションに分けられる。秋川あたりの上流、調布あたりの中流、そして丸子橋から羽田に掛けての下流域。それぞれ風景が違う。上流域の写真は自然写真と言っても差し支えないものだし、中流域は普通に川のある風景。ショッキングなのは下流、洗剤の泡の中を漕ぐカヌー、油膜が光る川べりに重なる魚の死骸、工場のばい煙をバックにうろつく野犬。確かに自分の子供時代、たまに乗る東急電車で多摩川を渡るとちょうど堰があるため真っ白い泡が川面を埋めていた。
公害防止法の制定から40年、たぶん流域人口は増えている一方だと思うが水質は劇的に改善されている。住民の努力より関係者によるインフラ強化による部分が大きいと思われる。
今後さらなる改善は進むのか?進める必要があるのか?あるとすれば、もっと流域の人々が川に親しみ、その結果として川を綺麗に保たなければという意識を持つよう啓蒙してゆくのも重要ではないか。身近でない川を大事に思う人は多くないだろう。
それにしても、テーマが自分に身近な存在だからか、直前に観た2名と同じモノクロ作品ながら本展の写真群はどれも「しっかり撮れている」と感じるものだった。構図も、光の加減も、スナップなようで周到に計算された結果であるように見えた。これがプロの作品なのか。なぜか「ニコンサロン特別展」のタイトルが付けられた本展。会場にご本人らしき年輩の紳士がいらっしゃったが流石に訊くのは失礼と思いお辞儀だけして退出した。
関連記事:「復活する多摩川のアユ」
2016年9月8日 銀座ニコンサロンにて
会場にぐるりと掛けられたモノクロ写真のパネルは3セクションに分けられる。秋川あたりの上流、調布あたりの中流、そして丸子橋から羽田に掛けての下流域。それぞれ風景が違う。上流域の写真は自然写真と言っても差し支えないものだし、中流域は普通に川のある風景。ショッキングなのは下流、洗剤の泡の中を漕ぐカヌー、油膜が光る川べりに重なる魚の死骸、工場のばい煙をバックにうろつく野犬。確かに自分の子供時代、たまに乗る東急電車で多摩川を渡るとちょうど堰があるため真っ白い泡が川面を埋めていた。
公害防止法の制定から40年、たぶん流域人口は増えている一方だと思うが水質は劇的に改善されている。住民の努力より関係者によるインフラ強化による部分が大きいと思われる。
今後さらなる改善は進むのか?進める必要があるのか?あるとすれば、もっと流域の人々が川に親しみ、その結果として川を綺麗に保たなければという意識を持つよう啓蒙してゆくのも重要ではないか。身近でない川を大事に思う人は多くないだろう。
それにしても、テーマが自分に身近な存在だからか、直前に観た2名と同じモノクロ作品ながら本展の写真群はどれも「しっかり撮れている」と感じるものだった。構図も、光の加減も、スナップなようで周到に計算された結果であるように見えた。これがプロの作品なのか。なぜか「ニコンサロン特別展」のタイトルが付けられた本展。会場にご本人らしき年輩の紳士がいらっしゃったが流石に訊くのは失礼と思いお辞儀だけして退出した。
関連記事:「復活する多摩川のアユ」
2016年9月8日 銀座ニコンサロンにて