5日間で4作の映画館通いである。3週間の旅行中に、ちょうど興味ある作品の公開が続いたのだ。1日でハシゴしても良いが、家に籠らず出かける方が時差ボケ解消に良いかと思い、1日1作品ずつ観ることにした。
『花咲くいろは』『SHIROBAKO』『サクラクエスト』『白い砂のアクアトープ』―。「働くこと」をテーマに、日々奮闘するキャラクターを描いてきた、P.A.WORKSによる”お仕事シリーズ”の最新作(以上、公式サイトより)。あ、『サクラクエスト』だけ観てなかった。もっともこれらの作品に関連性はないので問題ない。
今回の舞台はウイスキーの蒸留所、英語だとディスティラリー。作品に登場するのはもっと小さな工場。父親の急死で跡を継ぐことになったお嬢さんと、たまたまそれを取材することになった、何だかやる気のない兄ちゃんの物語。仕事の動機とモチベーションの話。それに意見の対立、衝突という家族問題が絡む。ああこういう話、実際にどこぞの老舗であった話だよなあとか思ったり。
「好き」を仕事にできる人は幸せだが、それがその人を幸せにするとは限らない。最初は好きでなかった仕事も、続けてゆくうちに好きになることもあるだろう。自分は?「これだ」と思った仕事だったけど、決して好きではなかった。もっとも、働くこと自体が好きではなかったので、論外とも言える。過去作品同様、本作に恋愛要素が描かれないのは潔いと思った。それにしても、制作にあたり随分国内たくさんの蒸留所を取材したものだ。エンドロールにもあったが、来場者特典のリーフレットにしっかり描かれていて感心した。
2023年11月29日 川崎・チネチッタにて