近藤ようこさんには、大きく分けて二種類の作品がある。
「水鏡綺譚」のような中世を舞台にした作品と、
「ルームメイツ」のような現代を舞台にした等身大の話。
「心の迷宮」は後者である。
執筆年代が「ルームメイツ」と少しかぶるだけあって、レベルが高い仕上がりになっている。
短編集で毎回登場人物が異なるけど、テーマは一貫している。
小学館「ビッグゴールド」に、同タイトルで連載された作品をまとめたのが本書。
著者が30代のころの作品。
あとがきで、次のように書かれている。
苦しみながら描いて、それでも失敗したなと思う話もあるが、時間がたってみるとまあなんとかまとめているじゃないかと感心する。ラストを最初に決めて話作りをする私のやり方は、大破綻がないかわりに途中から作者本人が思いもよらない展開になるというような、意外性のある面白さは生まれない。これじゃあだめかなあとも思うが、仕事のやり方はその人間の性格や生き方に重なるものだから、二十八年目の漫画家に迷う余地はないかもしれない。
【ネット上の紹介】
「なぜ人は愛を求め続けるのか?」婚前に運命の人と出逢い戸惑う女…恋に臆病になっているバツイチマザー…父親との絆から自立できないファザコン妻…など、揺れる女の心模様を見つめる読切り傑作短編集。愛に不器用な女たちの等身大の<愛の叙事詩>。心の傷いやします。あとがき/近藤ようこ 解説/戸田誠二
【参考書籍】