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「善人長屋」西條奈加

2012年02月05日 22時10分06秒 | 読書(小説/日本)

 
「善人長屋」西條奈加

久しぶりに 西條奈加作品を読んだ。(昨年の秋以来)
やはり面白い。
私が面白いと感じるレベルは、世間より高いが、しっかりクリアーしている。
すばらしい実力の持ち主と思う。

内容は、住人全てが裏家業を持つ「善人長屋」に、根っからの善人が迷い込むところから始まる。単純な善と悪の対比だったのが、その境界線がどんどんぼやけてくるに従い、面白さも増してくる。
9話の短編からなるが、後半の方がより面白くなる。
特に最後の3編が秀逸。
「冬の蝉」
「夜叉坊主の代之吉」
「野洲屋の蔵」
エンディングもすばらしい。
××な○○にしていないところgood。
(伏せ字にしないと、ネタバレになるので、御容赦)

PS
今回読んでいて、「おっ!」と感心したのは、大阪弁を見事に駆使していること。
この作家さんは、たしか北海道出身のはず。
どこで関西弁を習得したのだろう?
例えば、次のような会話。
P176
「ほうか、そいつはまた、難儀なこっちゃ」(中略)
「なかなか面白い話やったが、我はいわば、わしにとっては一見さんや。証しも信用もあらへんもんと、いきなり商いをはじめろと言うんか」
・・・ホント、見事である。(誰かに監修を頼んだのだろうか)

PS2
ちなみに、私が読んだ他の西條奈加作品は次の3冊。
まだまだ、これからも読んでいくつもり。
(西條奈加作品を初めて読むなら、「烏金」がお薦め・・・大江戸金融エンターテイメント!) 
【参考リンク】→ 烏金 
      

【ネット上の紹介】
“真面目で気のいい人ばかり”と噂の「善人長屋」。しかし陰に回れば、差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し…。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う。