「遮断」古処誠二
淡々とした筆致、地味な作品。
売れている気配もない。
でも、すごい作品である。
沖縄戦を描いている。
友人の妻をともなって、前線を彷徨する。
職業軍人と地元住民の確執。
本土と沖縄の関係。
当時の沖縄の様子がリアルに再現される。
地味だけど、実力ある作家、と思う。
【ネット上の紹介】
置き去りにされた子供を捜して戦場を北上する。生きているはずがないと分かっていた。それでも、捜さずにはいられなかった。戦争という極限状態の下で、人は何を「信じる」ことができるのか?
PS
関連作品として、「沖縄軽便鉄道は死せず」(辻真先)をお薦めする。
こちらも沖縄戦が舞台となっている。
ヒットした様子はないが、内容レベルは高い。
(騙されたと思って読んでみて)
【ネット上の紹介】
太平洋戦争末期、沖縄は米軍の激しい空襲に曝されていた。本土疎開ももはや手遅れ。庶民の逃げる先はいまやヤンバル(本島北部)を覆う密林地帯しかなかった。沖縄刑務所もついに解散となり、収監されていた北城尚純もヤンバルに向かう。途中、老人の遺体にすがる少女に遭遇した。被弾した老人は酒蔵の主で、二百五十年の歴史をもつ古酒の甕を抱えていた。少女は父親が命と引き替えに守った古酒とともに逃げる決意を固める。囚人と少女の凄絶な脱出行が始まった。