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「舟を編む」三浦しをん

2012年04月10日 21時18分26秒 | 読書(小説/日本)


「舟を編む」三浦しをん

人気作品を読んだ。
よかった、おもしろかった!
テーマは辞書編集。かつてないテーマのエンターテイメント。 

P27
「辞書は、言語の海を渡る舟だ」
 魂の根幹を吐露する思いで、荒木は告げた。「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」

P203
辞書づくりに取り組み、言葉と本気で向きあうようになって、私は少し変わった気がする。岸辺はそう思った。言葉の持つ力。傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、自分の心を探り、周囲のひとの気持ちや考えを注意深く汲み取ろうとするようになった。
岸辺は『大渡海』編集部を通し、言葉という新しい武器を、真実の意味で手に入れようとしてるところだった。

人気作品だけあって、充分楽しめて、読後の満足度も高く、カタルシスも得られる。
さすが三浦しをんさん、である。

【蛇足】
P146
「おつかれさま。今日は自宅にいる。何時でもいいので、あせらずにどうぞ。待ってます」
 西岡は微笑み、文面を二度読んだ。絵文字はひとつもない。麗美の文章はいつもと変わらず、案外硬派なものだった。(後略)

・・・実を言うと、(メールでもブログでも)生まれてから一度も絵文字を使ったことがない。(生まれた当時、パソコンないけど)
他の方が使うのは、かまわないけど、自分が使う分には、抵抗を感じる。
皆さん、どうなんでしょう?

【ネット上の紹介】
玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく―。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか―。