「晴天の迷いクジラ」窪美澄
窪美澄さんの作品を読むのは初めて。
どうだろう、と読み始めたが・・・・おもしろかった!
とてもすぐれた作品、と思う。
(特に、閉塞感の描き方がすごく巧い)
おそらく、今年の(小説部門)ベスト3に入る。
全部で4章。
Ⅰ ソラナックスルボックス
Ⅱ 表現型の可塑性
Ⅲ ソーダアイスの夏休み
Ⅳ 迷いクジラのいる夕景
それぞれの章で、中心となる人物が異なる連作長編。
最終章で、全員揃って、クジラを見に行く。
簡単に書くと身もフタもないが、ディーテイルがきちんと書き込まれ、生き生きと描写される。
これほど巧い作家に、久しぶりに出会った。
窪美澄さんは、捻りすぎず、適度に淡泊なので、ちょうどいい感じ。
登場人物の距離感もいい。
今後要チェックの作家が、また増えてしまった。
【ネット上の紹介】
壊れかけた三人が転がるように行きついた、その果ては?人生の転機に何度も読み返したくなる、感涙の物語。