
「噂の女」奥田英朗
おもしろかった。
先日「沈黙の町で」を読んだが、こちらの方が断然面白い。
奥田英朗さんらしい作品で、世俗を超リアルに描いている。
地方が舞台で、その世間の狭さ、欲望を極限に追求して笑いの領域まで持って行ってる。
「沈黙の町で」はシリアスドラマだけど、こちらは「空中ブランコ」「ガール」に近い。
どちらも地方が舞台だけど、本作品と「沈黙の町で」は、コインの裏表と思う。
「沈黙の町で」は、群像劇で意欲作だけど、著者は書いていて疲れたんじゃないだろうか?
その反動が「噂の女」となって出てきた。そんな気がする。
短編が10編収録されていて、すべてに1人の女が関わっている。
とんでもない女だけど、最後は応援したりしてしまう。
人生の悲哀と笑いは紙一重。
ホント名人芸、と思う。
【参考リンク】
→「沈黙の町で」奥田英朗


【ネット上の紹介】
中古車店に毎晩クレームをつけに通う3人組、麻雀に明け暮れるしがないサラリーマン、パチンコで時間をつぶす失業保険受給中の女、寺への寄進に文句たらたらの檀家たち―。鬱屈した日々を送る彼らの前に現れた謎の女・美幸。愛と悲哀と欲望渦巻く連作長編小説。