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「悪魔のような花婿(あなた) プリンセス・フェスティバル」松田志乃ぶ

2013年08月05日 21時09分28秒 | 読書(小説/日本)

「悪魔のような花婿(あなた) プリンセス・フェスティバル」松田志乃ぶ

シリーズ最終巻。
とは言え、本編は実質終了している。
本作品は、番外編特集。

前巻あとがきには、次のように書かれていた。

その後のジュリエットとウイリアムの結婚生活(赤ちゃんは生まれたの?)、リオンとイーヴのその後、ヒューとサラの話を短編で補足したいと思っています。

予告どおり、番外編エピソード集、となっている。
次の3編が収録されている。

①プリンセス・フェスティバル
②たんぽぽと卵
③私の赤い騎士

1番良かったのは、②の「たんぽぽと卵」。
とてもよかった。
それにしても、驚いた。
ジュリエットの姉が登場するとは!
エリザベスの人柄が次のように描写されている。

P210-211
「静かな祈りの道に入るには、シスター・エリザベスはあまりに活力と才能にあふれすぎていると殿下は思われませんか。あのきらきら輝く青い目をした見習い尼僧には、清らかな神の家よりも、自由で雑多で喧噪に満ちた広い世界のほうがふさわしい。シャムロックの院長も同じように考えて、彼女を見習い尼僧のままでおいているのだと思いますよ。いったん正式な尼僧になってしまうと還俗するのは難しいですからね」

P213
「(前略)頭はいいのでしょうが、性格はむしろ不器用なのではないでしょうか。そういうところもわが君と似ていると思いましたね」

それにしても、面白かった。
続編が読みたいくらい。
キャラクターとして、ジュリエットより、エリザベスの方が(個人的には)好感度高い。
贅沢を言うなら、ジュリエットとエリザベスのダブルキャストで共演させて欲しい。
これでおしまいとは、残念すぎる。

P260
「(前略)名残惜しさを感じながらも帰途につくシスター・エリザベスを笑顔で見送り、ふとした日常の中で、そういえば彼女は今ごろ修道院でどんな暮らしをしているのだろうか、とレディ・エリザベスの顔を思い浮かべるようになるものの、それはただの友情だと考えて疑わず、よし、一つ近況を尋ねてみよう、と手紙を出し、そこからお得意の文通を始める数カ月後のわが君のようすが見に浮かぶようです」

・・・ある日、都から遠く離れたハーツランドのシャムロック修道院に王太子殿下からの手紙が届く。
その時のエリザベスの表情、周囲の驚き。
ホント、情景が目に浮かぶ。

PS
あとがきに、『新しい物語ただいま構想中!なので引き続き応援をよろしくお願いします』、とある。
・・・こちらも楽しみ。

【蛇足】
誤植を2箇所見つけた。
次のとおり。

P193(左端行)
きらきらしい女たちの装いはこの場で舞踏会でも始まりのかと思われるほど凝ったものである。(誤)
きらきらしい女たちの装いはこの場で舞踏会でも始まるのかと思われるほど凝ったものである。(正)

P240
それに、自分1人がダンスの上手な家族の中の落ちこぼれのだと感じる必要はないと思う。(誤)
それに、自分1人がダンスの上手な家族の中の落ちこぼれだと感じる必要はないと思う。(正)

校正者の見落としか?(よけいなお世話)

【ネット上の紹介】
ジュリエットとウィリアムが無事に初夜を迎えてから5年。二人は子どもにも恵まれ、慌ただしい毎日を送っていた。ある日、村の超美少女を巡って相談事が…。ウィリアムに浮気疑惑が!? 幸せ短編集!