「きずな 時代小説親子情話」細谷正充/編
時代小説アンソロジー。
テーマは「親子」。
次の5編が収録されている。
「鬼子母火」宮部みゆき
「この父その子」池波正太郎
「漆喰くい」高田郁
「糸車」山本周五郎
「親なし子なし」平岩弓枝
なぜ、このアンソロジーを読もうと思ったかと言うと、
単行本未収録の高田郁作品が掲載されているから。
結果から言うと、読んでよかった。
これぞ、『みをつくし料理帖』の原点、である。
『特選小説』2008年12月号(辰巳出版(株))に発表された、初期作品。
料理をテーマに、絶妙な展開と人物配置、情感を盛り上げて、読者を泣かせる。
・・・やはり、、『みをつくし料理帖』の原点、と言うべき作品。
以下、解説の文章を転載する。
P247
11歳のふみと、母親のいね。
病気で寝込み、食が細ったいねは、かつて一度だけ食べた「豆腐」の味が忘れられないという。
それを聞いたふみは、なんとか母に豆腐を食べさせたいと、庄屋に相談。
P247
健気な少女と、それを見守り、助ける大人たち。おいしそうな食べ物。温かな読後感。「みをつくし料理帖」シリーズの特色が、はやくも本作に現れている。
(中略)
なお、小説誌発表時の本作の主人公の名前は“ふき”であったが、「みをつくし料理帖」シリーズに同名の少女が登場するので、本書収録に際して“ふみ”と改めたそうである。
以上、高田郁さんの「漆喰くい」ばかり誉めたが、他の作品も良かった。
つぶぞろい、である。
読んで損はない、と思う。