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「失われた名前」マリーナ・チャップマン

2014年06月04日 20時38分15秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)

失われた名前―サルとともに生きた少女の真実の物語
「失われた名前 サルとともに生きた少女の真実の物語」マリーナ・チャップマン

すごく面白かった。
これほど興奮する伝記は珍しい。
波瀾万丈とは、このことか。

著者は、5歳くらいの時、誘拐されてジャングルに置き去りにされる。
そこから壮絶なサバイバルが始まる。
5歳の少女が、コロンビアのジャングルで、独りで生き抜くことができるのか?
サルの群れと出会い、そのメンバーに入り込む。
そして、約5年くらい生き抜く。
その後、ジャングルにやって来た密猟者と出会い、人間界に戻る。
これで、「めでたしめでたし」にならない。
場所はコロンビアである。
売春宿に売られて、酷使されたり。(まだ10歳なので、下働き)
ストリートチルドレンになり、路上生活をしたり。
マフィアの家に入り、殺されそうになったり。
よく生き延びたなぁ、と思う。

この作品は、娘さんが母親から聞き取ったのを、まとめている。
マリーナという名前を自分でつけた14歳ころで終わっている。
続編があるようだが、日本には未紹介。
楽しみに待っていたい。

PS
冒頭に興味深いエピソードが紹介されている。
著者の娘さんが、幼い頃のこと。
母が急に、父に車を停めるように言う。
イングランド北部ヨークシャーの田舎道。
母は身軽に垣根を越えると、向こう側に姿を消す。
しばらくすると、黒髪を振り乱した母が現れた。
腕に何かを抱えて、ゆっくり垣根をよじ登ってくる。
抱きしめているのは、不憫にも捕まってしまった大きな野ウサギだった。
大人になっても、野生のカンを失っていなかった。
(野ウサギを手づかみ出来る人いる?)

【参考リンク】
マリーナ・チャップマン「失われた名前」

【ネット上の紹介】
誘拐、サルたちとの生活、売春宿、そしてストリート・チルドレン…。数奇で過酷な運命をへて幸せをつかんだ、ある少女の真実の物語。
[目次]
第1部 ジャングル(誘拐
緑の地獄
無数の目
サルまね ほか)
第2部 人間の世界(後悔
悪夢の旅
カルメン
忍従の日々 ほか)