「氷結の森」熊谷達也
「邂逅の森」と「相剋の森」は、登場人物津達につながりがあり、内容も森とマタギを描いている。
だから、大いに関連があった。
しかし、本作は、「『邂逅の森』に連なる“森”三部作完結編」、とあるが、あまり関連はない。
むりやり、シリーズであるかのように謳って売ってやろう、って出版社の下心を感じる。
・・・とは言え、面白くない訳じゃない。
いや、すごく面白い。
独立した作品として、十分面白いんだから、姑息なことをするな、と言いたいだけ。
(クレームを付けて、申し訳ない)
さて、内容は・・・
矢一郎は故郷を離れ、樺太で過去を背負い流浪の生活を送っている。
大正時代の樺太が舞台。
途中で、ロシアに移動。
凍結した間宮海峡を犬ぞりで越えていく。
いつもながら自然描写が素晴らしい。
もし、この三部作を読むなら、「邂逅の森」がお薦め。
いちばん面白いと思う。
「邂逅の森」を面白いと感じないなら、残りの2作を読んでも仕方ない。
【ネット上の紹介】
日露戦争に従軍した猟師の矢一郎は故郷を離れ、樺太で過去を背負い流浪の生活を続けていた。そんな彼を探し回る男が一人。矢一郎の死んだ妻の弟、辰治だ。執拗に追われ矢一郎はついに国境を越える。樺太から氷結の間宮海峡を越え革命に揺れる極東ロシアへ。時代の波に翻弄されながらも過酷な運命に立ち向かう男を描く長編冒険小説。直木賞・山本賞ダブル受賞の『邂逅の森』に連なる“森”三部作完結編。