面白かった。
しかも、レベルが高い。
時代小説ファンにお薦め。
吉原を舞台にした短編集。
7編収録されている。
それぞれゆるいリンクがある。
3編目あたりから、面白さレベルが上がってくる。
「てのひら、ひらひら」
「穴惑い」
特に良かったのが「白糸の郷」。
「掴みの桜」もいい。
最後の「浮寝鳥」は、最初の作品「しづめる花」の後日譚。
P119
披露目の床でどれほど竦ませていた娘でも、二、三年も経てば馴れが先立ち、日々のめりはりが失われてくる。気持ちの隙に入り込んでくるのが間夫(まぶ)で、いずれの妓楼もいかに追い払うかで手を焼いている。
遊女に仕立てるのが上ゲ屋、年期半ばで磨き直すのが保チ屋なら、合い間にあって妓の心を見張り、間夫の芽を断つのが目付なのであった。
「糸を手繰れば 結び屋おえん」志川節子
「春はそこまで 風待ち小路の人々」志川節子
【おまけ】
著者は寡作なため、まだ3作しか著していない。
私は、これで全て読んでしまった。
次作を楽しみに待っている。
【ネット上の紹介】
江戸吉原には、娘を花魁へと染めかえる裏稼業があった。その名も「上ゲ屋」「保チ屋」「目付」。うぶな時分に閨房の技を仕込み、年季半ばで活を入れ直し、常に女心を探り、間夫を絶つ。これら男衆と磨きぬかれた妓達が織りなす人生絵図を陰翳豊かに描く、連作七編。秘められし真心が静かに胸をうつ、傑作時代小説。