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「マリファナも銃もバカもOKの国」町山智浩

2015年07月05日 08時42分21秒 | 読書(英・米)


「マリファナも銃もバカもOKの国」町山智浩

「USAシリーズ」(私が勝手に命名)が出たら読むようにしている。
その辺のアメリカ評論より、よっぽど的を射ているから。

アメリカ版「どっきりカメラ」が「What would you do?」。
但し、日本のよりずっと「毒」がある。
P94-96
こういう番組は日本では作れないだろう。市井の人々、善男善女の心に潜む偏見や差別を暴いてしまうから。たとえばレストランで白人の娘が父親に「この人と結婚したいの」と黒人の恋人を紹介する。父親は「黒人なんか許さん!」と反対して、娘たちを追い返す。すると周囲の客が「同じ親としてわかりますよ」「大事な娘さんを黒人なんかに渡せません」と父親に味方する。そこにさっきの黒人俳優がカメラと一緒に入ってきて「全部ビデオに撮ってましたよ」と言うのだから、気まずいったらありゃしない。
 ベーカリーの店員が、英語が話せないメキシコ系の客を「不法移民は出て行け」と追い返したり、コンビニの客がアラブ系の店員に「お前らイスラム教徒はテロリストだ。アメリカから出て行け!」と嫌がらせする仕掛けには、何人かの白人男性が「その通りだ!お前らはアメリカ人じゃない!出て行け!」とヘイト・スピーチをかぶせたりする。
「ここはアメリカだ。何教徒だっていい!」と叱ったのは軍服を着た兵士だった。「あんたはイスラム教徒と戦ってるんだろ!」と言い返された兵士は「どんな宗教を信じても許される自由のために戦っている!」
 番組のクライマックスはここだ。普通の人が、少数民族や障害者への差別に我慢できず、ついに行動を起こす。

P176
芸能界にはノーズ・ジョブという言葉がある。鼻の整形のことだが、アメリカでは高くすることよりも、逆に高すぎる鼻を低くすることが多いという。特にバーブラ・ストライザンドのように大きい鼻は「ユダヤ鼻」と呼ばれ、ユダヤ系のステレオ・タイプとされる。
 ジェニファー・グレイもそんな鼻の持ち主だが、彼女が主演した『ダーティ・ダンシング』(87年)はアメリカでは女性のためのカルト映画として愛されつづけている。女性向けTVコメディで『ダーティ・ダンシング』ネタのない番組は存在しないと言ってもいい。
(知らなかった!カルト映画だったのか?・・・私は映画館でも観たし、DVDも持っている)

【参考リンク】
「知ってても偉くないUSA語録」町山智浩
「教科書に載ってないUSA語録」町山智浩
「99%対1%アメリカ格差ウォーズ」町山智浩

【ネット上の紹介】
アメリカ人も困る驚くべき実態を緊急レポート!澤井健の超美麗&爆笑イラストも完全収録。週刊文春人気シリーズの第三弾が待望の単行本化!!

[目次]
バイクをウィリーさせて、ほとんど垂直に立たせたまま走ること
グラウンドホッグ・デー
クリプトカレンシー=暗号貨幣
医療用マリファナ?それとも娯楽用?
3月の狂気
殺人の演技、殺人という行為
ワシントン・レッドスキンズ・アメリカ先住民基金
ノームコア=ノーマル+ハードコア。過激に普通。ファッションの最新トレンド
よもぎの反乱、ソヴリン市民
この国では、バカでも許されるんだby NBAオーナー、マーク・キューバン〔ほか〕