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「近所の犬」姫野カオルコ

2015年07月09日 20時58分52秒 | 読書(小説/日本)


「近所の犬」姫野カオルコ

「昭和の犬」がとてもよかったので、こちらも読んでみた。
この作品も面白かった。
著者によると、「昭和の犬」が自伝的小説、
「近所の犬」が私小説、とのこと。
でも、ほとんどエッセイ。
(少なくとも私は、エッセイとして読んだ)

「昭和の犬」より、さらに『犬』にテーマを絞って、書かれた作品。
著者の人柄が偲ばれる。
日常のストレスが解消される、読む薬のような作品。

P241-242
「わん」
 ロボが吠えた。
「あれ、吠えましたね」
 犬係さんが私を見た。
「前にこの犬と会われてますか?」
「・・・・・・会っています」
「それで吠えたんですね」
 たしかにロボの「わん」は威嚇する吠え方ではなかった。
「こいつは吠えないやつなんです。人にもほかの犬にもちっとも吠えない。でも、会ってうれしい人にだけ吠える」

【ネット上の紹介】
お金持ちのプライド犬モコ、姉のように優しかったシャア、昭和じゃないスピッツ拓郎、男好きのグレース、聡明で情緒豊かなラニ、とんま顔でたらし犬のロボ…。飼い主ではない。その家族でもない。彼らにとって私は、ただの通りすがり、近所の人。それでも…、それなのに…。もっさり暮らす或る小説家が、身辺の犬たちを愛でる「犬見」私小説。書き下ろし、直木賞受賞(『昭和の犬』)第一作。