「将棋の渡辺くん」(1)伊奈めぐみ
渡辺くんとは、実在する棋士・渡辺明氏のこと。
将棋界での実力者、21歳の時に最年少九段、永世竜王資格保持。
その私生活が描かれる。
ホントだったら、プライバシー侵害、個人情報漏洩。
でも大丈夫、本作品の著者は、渡辺くんの奥さんだから。
渡辺くんの日常がこれでもか、と描かれる。
驚き・・・と言うか、驚異の世界。
その能力は将棋にのみ特化しており、生活能力低く、奇人変人の領域。
ライターの火を付けることも出来ず、雨が降っても洗濯物を取り込むことも思いつかない。
蚊取り線香を直置きして、床が焦げたり。
(筋力もなく、妻にも腕相撲で負けるし)
ホントだったら、奥さん激怒して、実家に帰るでしょう。
ところが、この奥さんの偉いところは、それを面白がる余裕のあること。
さらに、マンガにして世に出したこと。
おかげで、我々はそれを楽しむことができる。
ところで、将棋のマンガは意外と多い。
但し、それは少年マンガでの話。
将棋は、勝負の世界だから、少年マンガと相性が良いのでしょう。
男性は、勝ち負けにこだわり、『勝負』を好む。
女性は『人間関係』や『気持ち』重視。
だから、羽海野チカさんのように女性が描くと「3月のライオン」ような、
生活感あふれる内容、キャラクター重視、その人間関係が濃厚に描かれた作品となる。
浮き世離れしたキャラクターである
渡辺君の両親も登場・・・温厚な方でよかった。息子をこれだけいじられたら、普通だったら怒るかもしれない
洗濯物ぐらい取り込んでよ!
【おまけ】
カバーを取ると、4コマ・マンガが描かれている。
将来の夢・・・「隠居生活」。
今年の抱負・・・「動物園に行く」。
う~ん・・・やはり浮き世離れしたキャラクターだ。
【参考リンク】
将棋の渡辺くん(試し読み)
渡辺明ブログ
将棋マンガ人気 渡辺明棋王に聞く - YOMIURI ONLINE・2015年11月5日
【ネット上の紹介】
将棋棋士は人類の代表! 将棋を指して生活している。懸命に勉強し、年に50局くらい戦い、勝てば笑い、負ければ自分のせい。勝ち負けだけに支配された世界。それはまるで人生の縮図だ。棋士は、どんな人たちなんだろう? 何を食べて、何時間寝ているんだろう?勝負師でも無頼でもない、リアルな将棋棋士の毎日を棋士の妻が漫画にしました。ノンフィクションです!